真・MFC千夜一夜物語 第541夜 Mass Flow Control Redefined MFCの再定義 その1
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
MFM、 MFC、そしてAutomatic Pressure Controller(以下APC)のハイブリッド製品であるオランダのブロンコスト(Bronkhorst High-Tech. B.V. 日本法人 ブロンコスト・ジャパン(株))のFLEXI-FLOW Compactの新ラインアップを紹介しましょう。
ブロンコストはFLEXI-FLOW Compactのことを"Mass Flow Control Redefined"と定義しています。 Redefinedは日本語では"再定義"を意味します。
つまり"MFCの再定義"を行おうという意欲作なのです。
2022年4月にこの衝撃的なMFCが発表されて4年が経過しています。
着々とその流量範囲を拡大し、また産業用イーサーネット対応を拡大しているFLEXI-FLOW Compactの現状をフォローしてみましょう。

FLEXI-FLOW Compact 出典 ブロンコスト・ジャパン(株)
FLEXI-FLOW Compactの革新的なセンサー構造
MEMSセンサーを搭載した熱式流量センサーを搭載したMFMやMFCは1990年代から市場に投入されています。
従来の巻線型との構成の違いを図で示しますね。

熱式流量計としての流量測定原理はどちらも熱式であり、共通です。
流体が熱を奪う量は、通過する流体の流量に比例します。
それを上流、下流の測温抵抗体で測定し、これらで構成したブリッジ回路で流量出力として取り出します。
その出力には高い繰り返し性能がありますが、個々の流体種への対応は、その比熱により左右されるのが熱式流量計の原理であることは、既にこのブログで何度も解説してきましたね?
本来複数(二線式、もしくは三線式)の巻線で構成されたこのセンサーは、内径0.35~0.6mm程度のステンレスの細管にニクロム線を巻き付けるという工程で生産されており、その巻き方、被覆の状態による個体差があり、またニクロム線に80~100℃の温度をかけるという使用方法は、上流、下流の巻線の経時変化による抵抗値の経時変化を招き、そのことがゼロドリフト等の問題を起こします。
流体の移動が無い状態、つまり流量がゼロの状態にあるにもかかわらず、当初の抵抗値のバランスが崩れて、あたかも微量流れているように見えたり、マイナスの表示をしているように見えるのが熱式流量計のゼロずれ問題です。
このずれ量はそのまま測定流量に誤差として乗るので注意しなくてはいけません。
この現象は、多くはマスフローセンサーの寿命が尽きかけているタイミングで発生します。
通電状態では常に100℃近い温度を発熱している巻線は、経年変化で抵抗値が上がり続けた末に最悪は断線による機能喪失が起きることもあるのです。
これがマスフローの寿命と呼べる現象の一つです。
MEMS型は三線式巻線型センサーをシリコンダイヤフラム上に再構成したものと考えてください。MEMS技術で再構築され、従来の巻線の不安定さを取り除くことが可能になり、マスフローの長期安定性、寿命、そして副次的には直接流体に接触することで応答性を改善することができたエポックとなる技術です。
ただし、弱点もあります。
直接流体に接触することで半導体製造装置のCVDやETCHで使用されるような毒性や腐食性の強いガスを苦手としてしまうのです。
特に毒性ガスに関しては、直接機器を損傷しなくても、図で示したシリコンダイヤフラムと本体の隙間が存在することで、そこに溜まった毒性ガスのパージが難しくなるという問題が生じてしまうのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
