真・MFC千夜一夜物語 第537夜 高圧でのアプリケーション その3
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
高圧での流体制御アプリケーションに関してお話ししましょう。
動作差圧
ここで「動作差圧」と呼ばれる性能表記の解説をしましょう。
「MFCは内蔵する絞り部分の圧力損失を可変し、結果流量を減じているものであり、決して自身で新たに流量を創りだすことはできない」という特性を如実に表しているのが、この動作差圧というスペックです。

各MFCメーカーの表記を確認してみましょう。
「カタログに記載したスペックを守って流量制御を行うためには、MFC内部で最大ここまでの圧力損失を生じさせなくてはならない」というのを言い換えたのが動作差圧です。
だがMFCはガス配管ユニットの一構成要素に過ぎない以上、単独の動作差圧=圧力損失だけで考えるのではなく、当然他の配管、部品のそれらすべてを加算した圧力損失値を計算する必要があります。
そしてそれを上回る圧力値で常にガスを供給する必要があるのです。
それを踏まえて、ここではMFC単独での動作差圧に関して解説しましょう。
例えば表のA社の製品は動作差圧49kPa(d)とあり、C社製品1だと 「一次圧:0.05MPa~0.3MPa/二次圧:真空~大気圧」という表記がカタログの仕様表欄にあるとします。
C社の場合、このMFCの最低動作圧は、二次側圧力が大気開放条件の場合、一次圧0.05MPa-二次圧0MPa=0.05MPaと言えますね。
では、「最低動作"差圧"は常に0.05MPaと考えればよいか?」と質問されたとしたら、答えはノーになります。
実際には一次圧(P1):49kPa/二次圧(P2):大気圧で動作するMFCは、一次圧(P1):749kPa/二次圧(P2):700kPaで同じ差圧(ΔP)条件:49kPaを再現しても正常な制御は難しくなってしまうことがあるのです。

「動作差圧は49kPaなのだから、どちらも動作するはずだろう?」という声が聞こえてきそうです。
それに答えるために、先ほどのA社の最大動作(使用)圧力を見直してみましょう。
カタログから拾うとそれは450kPa(g)とあります。
また、C社の動作圧力を再確認すると、そこにはわざわざ二次圧:真空~大気圧という括りが記されているのです。
故に一部のMFCは、差圧条件に最大動作圧力という入口圧力の上限や、二次圧は真空から大気までに制限されるというような出口圧力制限が設けられているのです。
例え差圧は同じだけ取れていても、二次圧が大気圧以上になる条件で一次圧をその分上げて使用する場合は、流量制御不良、制御バルブの出流れによる低設定域の制御不良等の問題が生じる可能性もあります。
このように差圧だけで語ることが出来ないために、最大動作圧力という表記が併用され始めたとDecoは考えます。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
