真・MFC千夜一夜物語 第535夜 高圧でのアプリケーション その1
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
高圧での流体制御アプリケーションに関してお話ししましょう。
マスフローの主力用途は半導体製造装置での流量制御です。
半導体製造装置でのガス制御ではMFCの二次側圧力が大気圧以下の真空領域を対象としています。それと比較すればマーケットサイズは小さいのですが、二次側が与圧、しかも1MPa以上の領域=高圧になる流体制御アプリケーションは確実に存在しています。
今回はそういった用途に使用されるMFCで押さえておく必要があるポイントにスポットを当てて解説していきますね。
常々DecoはMFCという機器に対して、ユーザーサイドで誤った認識を持たれていると思っていることがあります。
その一つが「MFCは欲する流量を必ず供給してくれる」という考えです。
「MFCは万能で、全てお任せで配管に取り付けさえすれば求める流量を流してくれる」と捉えるのは大きな間違いです。
こういった誤解の背景に「MFC=ポンプ、もしくはポンプに似た流量を作り出す物」という誤った思い込みがあるのではないか?とDecoは考えています。

MFCの真実の姿は必ずしもそうではない事は、今までのブログ記事で説明してきました。
流量センサーからの流量出力(測定値PV)と外部からの流量設定入力(目標値SV)を比較し、バルブ制御信号(操作量MV)を増減することで内蔵する流量制御バルブ絞り部分の圧力損失を可変し、結果流量を減じているものであり、決して自身で新たに流量を創りだすことはできないのです。
故にMFCを含むガス供給系のトータル圧力損失を上回る圧力で、ガスを供給する必要が生じます。
また供給圧力はMFCの後段の圧力にも左右されます。
特に大流量用MFCの場合、出口側が大気圧や真空条件であることは稀です。
特殊な条件で真空チャンバーに大流量を流し、それを排気するポンプがあれば可能ですが、二次側もある程度の与圧状態になるケースがほとんどなのです。
故に必要とされる二次側圧力から逆算して、ガス供給側の圧力を設定する必要が生じます。
このように二次圧から逆算して供給圧力を決めていくと、MFCへの供給圧力が1MPaを越えてしまい、高圧ガス保安法で言うところの「高圧ガス」の領域に入ってきてしまうこともあります。
ところがMFCの耐圧スペックはどうかというと、国産の一般的な微少流量用MFCのほとんどが耐圧仕様は上限1MPaなのです。
これは強度計算的にどうか?よりも高圧ガスという法的な括りのある圧力領域を意図的に仕様に含んでいないという意味合いです。
一般工業用途で大流量モデルを国際的に積極的に展開しているオランダのブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V.)になると、流量フルスケール 100L/min クラスで定格圧力700bar(70MPa)というラインナップが揃っています。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
気をつけなくてはいけないのは、これらの大流量高圧対応モデルとは異なる100L/minクラスの比較的大流量対応製品が市場には存在し、その耐圧上限は1MPaのままであったりすることです。
これらのMFCは、ベースになる技術がそもそも低圧微少流量用モデルの応用で、前述のような大流量モデルを得意とするブロンコスト製品とは、製品のコンセプトやアプローチ自体が異なるのです。
機種選定では十分に気をつけないといけません。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
