真・MFC千夜一夜物語 第534夜  APC vs MFC その6

2026年09月15日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
MFCの派生分野であるAutomatic Pressure Controller(以下APC)に関しての解説を再び行っていきます。

最近リリースされているAPCとMFMを一体化した製品の中でも、さらに進んだソリューションを提案している製品があります。
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)が提案しているFLEXI-FLOW COMPACTシリーズは大幅なコストダウンと小型化を達成しつつ、更に多機能な圧力測定&制御、流量測定&制御を実現できるデバイスとなっています。(画像右)

"コンパクトで革新的なマルチパラメータマスフロー計器"

"流量、温度、圧力を1台の計器で計測できるオールラウンダー"

と、彼らはFLEXI-FLOW Compactを位置づけています。

驚くべきことにこのFLEXI-FLOWの小型化されたボディには、流量センサー、上下流に圧力センサーが2つ内蔵されており、これにより流量制御、供給圧制御、背圧制御を一台でこなすことができるのです。(もちろんバルブ開度の物理的な限界、センサーの対応レンジにより、必ずできるとは言えないでしょうが・・・)
こんな欲張りなレイアウトを実現するキーとなったのがFLEXI-FLOW Compactに採用されたTCS(Through Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーという技術です。

TCS Technology バイパスフローセンサー 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

従来の巻線型熱式センサーとMEMS型熱式センサーを融合することで、巻線型の器差の原因であった微細なニクロム線を細管の外周に巻きつける工程を廃すと共に、従来の分流(バイパス)構造はそのまま活かし、広いレンジで高い精度、繰り返し性を維持できるTCS Technologyバイパスフローセンサーが開発されたのです。
流路にただMEMSセンサーを置くのではなく、巻線型センサーのセンサー部をMEMSで再現する事で、今まで培ってきた分流(バイパス)技術を利用した多彩な流量・圧力レンジへの拡張性を持たせた温故知新のセンサー技術だとDecoは評価しています。

FLEXI-FLOW Compactは、その制御アルゴリズムをリアルタイムで変更する事で、「圧力条件変動が与えるCFへの影響を補正して流量を制御し、なおかつ圧力情報をモニターできる高性能MFC」にも「圧力を検知して制御バルブで流量を制御した結果として圧力を制御し、なおかつ流量をモニターできるAPC」にもトランスフォームできます。
これに関わるファームウエアの切り替えは、各種デジタル通信で行われます。
配管システムにおけるデジタルI/Oの強みは圧倒的な情報量です。
FLEXI-FLOW Compactというモジュールは、デジタル化による恩恵を、意欲的に機能拡張へと振った初めての製品かもしれません。

APCという機器は、ある意味MFCの兄弟のようなものであるとDecoは言い続けてきました。ならば、MFCと供給圧制御型APCと背圧制御型APCをサンコイチにしたブロンコストのFLEXI-FLOW Compactで「圧力条件変動が与えるCFへの影響を補正して流量を制御し、なおかつ圧力情報をモニターできる高性能MFC」にも「圧力を検知して制御バルブで流量を制御した結果として圧力を制御し、なおかつ流量をモニターできるAPC」にも、プロセスに応じてファームウエアを切り替えて使える新しい流量圧力制御モジュールこそが、コスト&フットプリント削減というユーザーの要望に応えつつ、流体制御、圧力制御の新しい形になっていくのではないでしょうか?

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy

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