真・MFC千夜一夜物語 第528夜 MFM vs MFC その6

2026年07月29日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回はMFM vs MFCと銘打って、直接対決といきましょう。

MFC対MFM+比例制御弁

MFCの自動制御では流量制御が難しい条件で、手動制御に戻してMFM+ニードルバルブを用いるパターンを紹介しましたが、量産を目指したライン展開では今更手動制御は難しいとなりますよね?
そこで流量調整弁にモーターや磁力、空圧を動力として用いた自動調整弁を検討するのも手です。

比例制御弁 出典:タカノ株式会社

写真の比例制御弁はソレノイド等のアクチュエーターで開度を調整するもので、基本的にMFCに搭載されているものと同じです。
これとMFMと調整計で自動制御を行うのです。
「それでは結局MFCに戻ることになりませんか?」という声が聞こえてきそうですが、一体型パッケージであるMFCをわざわざMFMと比例制御弁に分解することで、種々の難しい条件に対応する流量制御が可能になるのです。

例えば、フルスケール付近の流量から2%程度の低設定流量まで、広いレンジで流量制御を行いたい場合は、図のようなフローを組むことで対応が可能になります。
自動調整弁のバルブ定数(Kv値もしくはCv値)を大小異なる二つの弁を用意しておいて、切り替えるやり方です。
切り替えのタイミングに応じて下流にガスをチャンバーから逃がすベントラインが必要になることもありますが、各々の自動調整弁が得意とする流量域で活躍させることができます。

この応用で例えば水素のようなMFCの天敵であるガスの流量制御も可能になるのです。
熱式流量センサーを搭載したMFMにとって水素のコンバージョンファクター(以下CF)は窒素と大きく変わらないのに、軽くて流れやすい性質上、バルブ定数は1/10くらい小さくしないといけません。
こういった状況でMFCを使って1台で複数のガスに対応するマルチガス・マルチレンジ対応を行うには、流量センサー側は二つのガスのCFが近くて問題ないが、流量制御バルブ側はバルブ定数の設定が共用しにくくて、どちらかの制御をあきらめないといけなかったのです。
そこを図のようなフローとすることで、水素時は小さなバルブ定数の自動制御弁、窒素では大きな自動制御弁を切り替えてやればよくなります。

また、水素単独の場合も、大流量になるとMFCの流量センサーと層流素子(バイパス)との組み合わせに対応する流量制御バルブ側のバルブ定数が水素には大きすぎる設定しか選べない製品があります。
こういった製品はオーバーシュートやハンチングを起こしやすく、水素のような危険なガスを大流量制御する上で好ましくないのです。
こういった場合、MFMと自動調整弁の組み合わせで、自動弁のバルブ定数をその流量の水素制御に適したものに絞ることで対応するとよいのでした。

今回はMFM対MFCと銘打って対決と煽りながら、その実はMFCの自動制御で至らないところをMFMと流量調整弁を使った手動、自動制御で補う方法を紹介させてもらいました。
手動制御のニードルバルブはアナログテイストではあるが、そもそもは圧力損失を可変して流量を作り出している点ではMFCの流量制御バルブと同じです。
自動制御弁に至っては、MFCで流量制御に採用しているのとほぼ同じ構造です。
これらを研究、量産用途でMFMとセットで上手く使うことでMFCの自動制御の弱点をカバーすることができます。
確かにMFCは便利な存在ですが、決して万能ではないのです。
種々の厳しい条件では上手く流量制御できないこともあります。今回の解説はそういった場合の解の一つとして理解してもらえればと思います。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy

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