真・MFC千夜一夜物語 第521夜 MACH ONEって知ってるかい? その6

2026年06月09日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回からはDeco個人の知識欲が動機となった題材で書かせてもらいます。

MACH ONEが流量制御に与えた影響に関して話しましょう。
まず、MACH ONE後の圧力式フローコントローラー開発の歴史を簡単に見ていきます。
まずFCSの開発と前後して、米国でFuGasity Corporationというベンチャー企業が、体積流量計であるラミナーフロー流量計の原理をアレンジした圧力式フローコントローラーを発表し、US特許を取得しました。
2003年に (株)堀場エステック(以下堀場エステック)はこのFuGasity Corporationの事業を買収し、圧力式フローコントローラー"CRITERION"シリーズの製造権、販売権、技術特許を取得しています。
"CRITERION"シリーズはラミナーフロー方式(堀場エステックは「層流粘性流域差圧検出方式」と呼称)であり、理論上高い精度での計測が可能でした。

これ以降、彼らは"CRITERION"の半導体向け圧力式フローコントローラーとしての熟成に尽力しました。
ラミナーフロー方式は、臨界ノズル方式と並んで、国家の流量標準移管器として採用されるなど、理想的な気体流量測定方式です。
フローコントローラーとして考えた場合の、ラミナーフロー方式の一番の長所は、他の圧力式と比較してワイドレンジ対応が容易な事です。
堀場エステックが示している資料でも一次圧(P1)を上昇させた際、小流量域での立ち上がりが良いのがわかります。

ここからは推測ですが、二次側が真空領域での用途がメインである半導体製造装置で使用するには2つの問題点を改良してきたと思えます。
一つは超高真空下の密度の低い気体の流量測定に用いるにあたって、P1、P2の2つの絶対圧センサーの器差問題です。
もう一つとしてラミナーフロー方式は熱式のように流体固有の物性である比熱に支配されない代わりに、同じく固有の値である粘性に支配されてしまうが故に、熱式と同様にガスによるコンバージョンファクター(CF)が存在することです。
これらに対する解は、絶対圧センサーの性能と器差の縮小に関するハードウエア的な熟成とCF、つまり実ガスとの変換係数を設定する為のガスデータの蓄積でしょう。

そもそも同時期に熱式MFCのMGMR対応に当たってのガスデータベース作成が求められていた背景もあり、堀場エステックは福知山テクノロジーセンター等で実ガス流量測定装置等の設備を準備してガスデータベースを構築していました。
この"CRITERION"シリーズはMFCの流量センサーをラミナーフロー方式に置き換え、流量制御はあくまで流量信号(PV)と設定信号(SV)を比較して、バルブ制御信号(MV)を可変するコンベンショナルな仕組みの圧力式フローコントローラーであり、その意味ではMACH ONEとは対極にあると言っていいのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy

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