真・MFC千夜一夜物語 第519夜 MACH ONEって知ってるかい? その4
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今章はDeco個人の知識欲が動機となった題材で書かせてもらいます。
MACHONEの話に戻りましょう。
前回、量産された300mm半導体製造装置に初めて採用された圧力式フローコントローラーであるFCS第1世代に関して説明に時間を割いたのは、MACH ONEもこの時期にデビューした圧力式フローコントローラーであること、そして何よりその測定原理が臨界ノズル式を謳っていた点で、FCS第1世代と似通っていたからです。

図にMACH ONEの構造を示します。(当時の製品カタログに記載されていたものを引用しています。)
臨界ノズルの上流に圧力センサーと温度センサーが配置されている構成はFCS第1世代に似通っています。
ただ、読者もFCSだと圧力センサーの上流に設置されている流量制御バルブがMACH ONEには存在しないことに気が付かれたかもしれません。
前述通り臨界ノズル式の場合、臨界ノズルの上流圧を精度よく制御する為に、流量制御バルブと圧力センサーでAPCを構成しています。
このAPCに当たる機構がMACH ONEには見当たらないのです。
圧力センサーの前後には流量制御バルブは存在せず、図中のModulatorに繋がった板と思われるものしかありません。
Modulatorとは英語で変調器ですが、当初Decoもこの構成の意味が全くわかりませんでした。
発売当時、展示会ブースで質問したところ「このビート版の振動でガスを細切れに流し込む流量制御ユニットである。」との説明を聞いても、キツネにつままれた気分であったのを思い出します。
確かにMFCがソレノイドで流量制御するという説明をした際に、あるユーザーがソレノイドの開閉を繰り返すことでガスを細切れに流し込んでいるのか?という解釈をされたことがあって、面白い発想だと思ったことがありましたが、それを現実にするメーカーがあったことに驚きました。
だが、この流量制御方式が果たしてどうだったかというと、やはりMACH ONEがその後、消えていった事実から自明なのかもしれませんね。
このビート板が動作している際に、臨界ノズルでは「オリフィス上流側の絶対圧が下流側絶対圧の2倍以上になると、そのオリフィスを通過するガスの流速は音速に達し、以降はガスの流量はオリフィス上流側圧力にのみ比例する。」状態は果たして維持できていたのでしょうか?
そして半導体プロセスガスでよく見られる低蒸気圧ガスの制御時に、この構造で断熱膨張による再液化問題には対応できたのか?
半導体プロセスではタブーの発塵問題は?
そしてModulatorの耐用年数は?
こういった疑問が、実は四半世紀の時を経た今もDecoの頭の中では渦巻いているのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
