真・MFC千夜一夜物語 第518夜 MACH ONEって知ってるかい? その3
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回からはDeco個人の知識欲が動機となったMACH ONEという製品を題材に書かせてもらってます
残されたわずかな資料から推察すると、MACH ONEが採用している流量測定方法は臨界ノズル式に分類すべきで、これは広義で差圧式流量計に当たります。
同様の方式を採用していたのが、(株)フジキンのFCSです。
FCSの第一世代(これは便宜上勝手にDecoが呼称しているだけで公式な分類ではありません。)は当初音速ノズル(ソニックノズル)方式と呼称されていました。
FCSはその原理上、一次側圧力変動影響を受けないという利点から、従来の熱式MFCでは必需であった一次側へのラインレギュレーターと圧力センサー設置を不要とすることで、ガス系の小型化、コストダウンに大きく貢献すると評価され、マルチチャンバー化で多系統のガスラインを必要とするドライエッチング装置で採用されました。

この構成を上図に示します。
オリフィス上流側の絶対圧が下流側絶対圧の2倍以上になると、そのオリフィスを通過するガスの流速は音速に達し、以降はガスの流量はオリフィス上流側圧力にのみ比例することになります。
所謂、臨界膨張条件と呼ばれる原理を応用したのがこのFCSの特長です。
FCSの流量制御原理を、臨界ノズルの効果で流速が固定されることを、流量も固定されると誤解する向きがあるようですが、それは間違いです。
流量は上流圧に比例して増加するのですから、例えば400Pa(A)である流量が得られるオリフィスに対して、オリフィス上流側圧力を10倍の4kPa(A) にすると、10倍の流量が得られるという考え方でいいのです。
MFCは上流側圧力変動の影響により制御流量が激しく揺らぎ、これをキャンセルする為には圧力センサーを搭載したPI-MFCを用いたりしますが、FCSはこの原理により、上流側圧力変動の影響を全く受けないメリットを受ける事ができるのです。
この事は、当時は常識であったMFCへ供給圧力変動影響を及ぼさない為に設置されていた圧力調整器(ラインレギュレーター)の設置を不要としました。
ガスボックスの複数ガスラインで必要とした圧力調整器が不要となった事は、コストダウンとフットプリントの削減に効大きな効果があったのです。
この臨界ノズル式の肝は、オリフィスの上流圧をいかに精度よく制御できるかです。
これにはオートマチック・プレッシャー・コントローラー(APC)が用いられます。
Decoは臨界ノズルを国家の流量標準移管器として使用されている(国研)産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ)等で何度か見せてもらっていますが、Paレベルで調整が可能な高精度なAPCによる圧力制御を、非常に高価な絶対圧センサーと制御バルブとの組み合わせで実現されていました。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
