真・MFC千夜一夜物語 第381話 流量制御バルブとアクチュエーター その1

2022年11月22日

今回からマスフローコントローラー(以下MFC) の流量制御を司る流量制御バルブとそのアクチュエーターに関して再び解説していきましょう。
MFCは流量センサーと流量制御バルブ、そして調整計である制御系で成り立つ流量自動制御を目的とした特殊な機器です。

それ故に流量センサーと流量制御バルブ双方の理解を深めていかないと本質を見失いやすいのです。
本ブログで流量センサーだけでなく流量制御バルブの解説を都度試みるのは、その為です。MFCは流量を自動制御しています。

例えば図のようにフロート式流量計を流量の検出器として用い、ニードルバルブ等を使って目標値となる流量を調整する形は手動制御と言われます。
検出器であるフロート式流量計の値を人間が目で測定値として読み取り、頭脳でそれと目標値の比較、偏差を判断し、手でニードルバルブのハンドル部を回してバルブの開度を調整するのです。
目標値と測定値が一致するようにこのフローを繰り返すのが手動制御です。

手動制御の問題は、そこに人間が介在することです。
プロセス条件は朝昼晩の環境温度変化や、二次側のリアクターの圧力変動等により流量測定に影響を及ぼします。
その為、そういったプロセス条件の変動に合わせ調整計の役割を果たす人間が常に必要になるのです。
でも、人間は24時間働き続ける事はできませんね?
交代要員を用意したとしても、フロート式流量計のフロート位置を読み取るのに、フロートのどの位置を読めばよいのか知っている熟練作業者と、全く知らない新人では目視から判断の過程で差が出てしまう可能性もあります。

そういった人間の存在が及ぼす手動制御への影響を解消するのが、自動制御なのです。
MFCの場合、フロート式流量計でフロートの位置を目視で読み取るという動作が流量センサーに置き換えられます。
判断して、操作するという動作は調整計に委ねられます。
自動制御の肝となるのは、人間の代わりに比較、判断、操作をこなすこの調整計です。
調整計は手動制御での人の頭脳での②判断と手での③操作の代替を行いますが、当然全く同じ動作をする訳ではありません。
例えば、フロート式流量計は、人間の目で読み取るというアクションを調整計に入力する為に信号化することが難しいです。
今の技術ではカメラで読み取ることで可能になりましたが、そこにコストを費やすよりは、熱式流量計のように流量を電圧や電流信号に変換できるデバイスの方が調整計との相性のいい検出器として歓迎されるのでした。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan