真・MFC千夜一夜物語 第376話 コリオリ式マスフローの良さが認知されてきました その4

2022年10月04日

マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDeco推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?
今週もコリオリ式流量計に関する復習です。

コリオリ力は1835年フランスの物理学者ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ(Gaspard-Gustave Coriolis)が発見した回転座標系における慣性力の一種です。
回転系に発生する慣性力としてのコリオリ力を流量検出原理とているのがコリオリ式流量計の流量センサーです。

このセンサーでは、配管系を回転させる代わりに振動を与えています。
振動と回転は異なる運動系に見えますが、回転軸に対し垂直方向からフォーカスすると、実は同じ動きをしている運動系であることが理解できます。
コリオリ式流量センサーは、回転系に発生する慣性力であるコリオリ力を取り出す目的で作られた仮想回転系と考えてもいいでしょう。

一般的なコリオリ式流量計の構造は2本のU字型チューブを使用していて、それらを逆位相で振動させます。
流体が流れると質量流量に応じたコリオリ力が作用して、振動する2本のチューブには位相差が発生し、捻れが発生します。
流体が進入する側の左側ではコリオリ力は共に2本のチューブの内側に働き、流体が出る右側は流体の向きが180度変わって外側に働くのです。
ここで流体が流れたときの位相差を測ればコリオリ力、ひいては流体の質量流量を算出できるのですが、実際にそれをリアルタイムで測定するのは難しいです。
そこで左右のチューブが振動の中立点(捻れ角=0位置)を基準点としてそこを通過する時間差Δtを位相差として測定することが多いのです。

【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

コリオリ式流量計には、チューブを振動させるオシレーター(発振回路)と、左右の捻れを検出するピックアップ(検出回路)が配置されているのが一般的です。
しかし、中にはU字管1本で構成する事も可能であり、今回取り上げたブロンコストのmini CORI-FLOWシリーズは1本で構成されています。
コリオリ力が弱い=流体の質量が小さい場合にセンサーの感度を補うべく開発され2本チューブタイプですが、ブロンコストはそれを図にあるようなチューブの曲げを特殊な形状(通常のコリオリがUやΩの形なのに対して、Ωの上半分を折り曲げて反転させたイメージ)にすることと、光ピックアップの性能向上でクリアしているのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan