<注意喚起>マスフローを修理返却されるに当たってのお願い

2020年12月08日

数か月に一度、本ブログでお願いしていますが・・
人の命にかかわる事ですので、Decoもしつこく書かせて頂きますね。
マスフローコントローラー(MFC)やマスフローメーター(MFM)を、修理や再校正作業でメーカーに返却される場合、気を付けて頂きたい事があります。

修理依頼品に付けて頂きたいメーカー指定の書式があるとお思いますが、Decoが現役のメーカー時代から、これが記載されていなかったり、不十分なものが散見されます。
特に除染関連、このマスフローにはこういった種類のガスをどれだけ流していて、取り外し後はパージ作業を行ったか?という書式は、日本ではなおざりにされがちです。
たとえばブロンコスト・ジャパン(株)でしたら、除染告知書という書式があり、これが必要事項記載されていない場合、作業には取り掛からないという約束が世界的にあります。

【除染告知書 出典: ブロンコスト・ジャパン(株)】
除染告知をおろそかにするという行為は修理内容の確認で双方の時間を浪費するだけでなく、
最悪の場合作業者の健康を損なったり、生命の危険を招くこともあります。
「Decoさん、いくらなんでも大げさでしょう。」と言われるかもしれませんが、マスフローに流される流体は決して安全な空気だけではありません。
特に半導体製造では毒性、可燃性のガス種のオンパレードであり、ppmオーダーで致死量に至るガスもあります。
もう時効だからお話ししますが、20年以上前お客様から返却された窒素のマスフローに塩素が充たされていたことがありました。添付された書類にはどこにも塩素を流したとは書いてなく、パージの項目は「済み」と記載しました。
受け入れ作業で開封したところ、わずかに塩素ガスの匂いがしたので、あわてて除害ボックスに放り込んだのですが、受け入れ担当は気が付くとうっすらと鼻血が出ていたとのことです。
この話を依頼元のお客様にしたところ、「知らない、君たちの受け入れのやり方が杜撰なんだろう。」と言われました。
安全を確保するには、すべてを疑ってかからないといけないのは確かで、受け入れ側にも改めるべき点はありましたが、自分達が使用したプロセスを把握していない杜撰な人に言われたくはありませんね。
(因みにその会社は経営のやり方も杜撰だったのか、もう存在していません。)

マスフローの修理や再校正をご依頼頂く際は、以下の事を明確にしましょう。

・依頼者の連絡先
・製造番号
・どのような流体で使用されていたか?
・送る前にどのような洗浄されたか?
・故障内容の詳細(いつから、どこで、どのように不具合が生じているかを詳細に。)
・再校正依頼ならば、出荷にどういったドキュメント(トレーサビリティ体系図等)を付ける必要があるか?


年末を控えDecoからのお願いでした。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan