Dsub9ピンなら互換の筈だよね?【MFC豆知識】

2020年12月01日

MFC(マスフローコントローラー)豆知識のコーナーです。
昨今のラボ用、半導体用(IP40程度の防塵・防水規格品)MFCのアナログ接続コネクターは、国産品がDsub9ピン(本体側がオス)で、海外品がDsub15もしくは9ピンのイメージです。
その昔はカードエッジコネクターとか、丸ピンとか色々ありましたが・・・

出典)日本アエラ(株) & 堀場エステック(株) MFC用コネクタ

ただ同じDsub9ピンでもピン配列(ピンアサイン)が同じか?とか、コネクターの勘合ネジは同じか?という細かいところは未だに確認が必要な事が多いのです。
例えば同じ堀場エステックさんのMFCでピンアサインを見てみると・・・

出典)堀場エステック(株) 取扱説明書
これが少し前のMFCですと・・・

出典)堀場エステック(株) 取扱説明書
ピンアサインで目に付くのが、電源COMと信号(流量出力、設定入力)COMの位置です。
7440ではCOMはそもそもNo.4ピンだけですので、ここに電源COMと信号COM2つを落とすようにしていました。
ところがZ500シリーズですと、NO.4電源COMとNo,7&No.8に信号COMが別々にあり、電源COMと信号COMは双方MFC内部でも接続されていないと明記されています。(No,7&No.8の信号COM同士はMFC内部で接続)

他社さんですと、日立金属(株)のSAMブランドSFC1480FX/2480FXシリーズでは・・・

出典)日立金属(株) 取扱説明書 

基本、世代がほぼ一緒のせいもあり、Z500に近いですが、内部でNO.4電源COMとNo,7&No.8に信号COMは繋がっているそうです。

この各社の微細なCOM結線の差はなぜかというと、電源COMラインのノイズを信号ラインへ侵入させたくないという設計思想からくるものです。
そもそも電源線と信号線は同居させないように離したり、シールド線を用いて、シールド線を受信機側で接地させるものなのです。
MFCが主に使う0-5VDC電圧信号は、信号系の中でもCOMラインのノイズに弱い性質があります。
電源系の大きなCOMラインノイズが、そのまま信号ラインのCOMと接続してある事で大きなノイズが入ってきてしまうのを避けたいという思想が昔からあります。
(だったら4-20mA等の電流信号使えばいいのにとDecoは思ってますが・・・)

このような細やかな知識なしで、「同じメーカーの機種で、しかもコネクターも同じ9ピンだから・・・」と接続してしまうと、現場でMFCが動作しないといったトラブルに遭遇してしまうことも、稀に生じます。
その点、堀場エステックさんなんかはここら辺のCOMの接続に関しては、新型機種では本体DIPスイッチの切り替えで新旧型のCOM配線対応を変えられたりする親切機能が設けてあり、さすがだなぁと思う訳です。


MFC豆知識 by Deco