真・MFC千夜一夜物語 第312話 MFCのボディは何でできているの?その4

2020年05月12日

SUS316L、SUS316L VIMVAR材、ハステロイC22とマスフローコントローラー(MFC)&マスフローメーター(MFM)のボディ接ガス部を構成する材質を説明してきました。

マスフロー(MFCやMFMの総称)のメイン市場は半導体製造装置産業なので、そこでの要求に合わせる形で使用される材料も刻々と変化してきました。
それに対応するのは、マスフローメーカー側の努力だけではなく、金属材料手配、切削加工、内面研磨、外面ラップ加工までをワンストップでお願いできる業界を熟知した加工業者さんの協力があってこそでした。(写真参考) 

半導体用MFC他加工部品 出典:(株)坂本製作所
(株)坂本製作所さんのHPへは こちら から 

半導体プロセス対応接ガス材質の選定に関してより詳しい知識を必要とされる方は、SEMI Standard F105-1107 "ガス供給システムにおける金属材料の適合性ガイド" を一読されることをお奨めします。

さて、今週からは接ガス材質の表面処理に関する用語を解説していきましょう。

・パーティクル

ウルトラクリーンテクノロジー(UCT)で排除されるべき対象=パーティクル(particle:一般に小片、粒子を意味するのですが、要は微細なゴミ)です。
パーティクルには、付着残留パーティクル(元々配管の中に存在していたパーティクル)と、機器を使用中に発生してくるパーティクル(バルブなどの慴動部での磨耗や腐食により生成する)に分かれます。
UCT以前は、付着残留パーティクルを除去する為にガスパージやハンマリング(配管をハンマーでコンコンと叩く)、洗浄といった手段が取られてきました。
しかし、例えばBA配管(表面粗さRy3μm)をモデルにしてみても、廃除すべきパーティクルサイズが0.1μmであるのに対して、配管の表面には3μmの凹凸があるのでは、窒素ガスでパージしても0.1μmサイズのパーティクルの完全パージは不可能です。
その証拠に、パージや洗浄、ハンマリングを行いパーティクルが検出されなくなった直管をベンダーで曲げると数百数千のパーティクルが出てきたそうです。
これらのパーティクルは溝の中に付着残留していたものが飛び出してきたと思いがちですが、表面付近に存在しているアルミナ等の非金属介在物が、曲げ作業により割れてパーティクルとなるものもあるようです。(そのため非金属介在物の少ないVIMVAR材はパーティクル対策に有効なのですね。)
電解研磨処理を施した配管では曲げ加工を行なっても、0.1μm以上のパーティクルは数個以下になるそうです。

参考)MFC自体のパーティクルテストに関しては、参考資料としてSEMI Standard E66  "マスフローコントローラのパーティクル発生測定のテスト方法" を読んでみて下さい。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan