真・MFC千夜一夜物語 第304話 MFCとは不思議な存在 その4

2020年02月04日

流量設定信号(SV)が0以外のある値でMFCに入力された状態で、何らかの理由でガスの供給が遮断された場合、MFCの調整計はSV>流量信号(PV)の状態をSV=PVとすべく、バルブ制御信号(MV)を増やしますが、
当然SV>PVは解消されないので、バルブ開度最大でMFCが待機してしまい、いざガスを導入すると、全開で待機していたMFCの流量制御弁をすり抜けたガスが大きなガスサージを下流で発生させるトラブルに対しての対策は簡単です。

MFCに「自動制御をやめろ!」と指示すればいいのです。

「えっ?Decoさん、それどういうこと?」とおっしゃるかもしれませんが、読んで字の通り。

SV>PV状態で、MVは最大値となって、流量制御バルブが全開待機することが問題なのですから、MFCに「ユー そんな制御やめなよ!」というコマンドを入れてやればいいのです。

具体的には2つ方法があります。

1つはSV=0Vを装置からMFCに入れてやることです。
でも、これだけでは足りません。
なぜならMFCのゼロがずれていた場合、SVが0VでもPVが-0.1Vならば・・・やはりSV>PVとなりバルブは開いてしまいます。

これと連動して、SV値が0V近辺となった場合に、流量制御モードから強制的にバルブ閉モードに変更仕組みが必要になるのです。

この機能は、「オートシャットオフ」等と呼称されています。

具体的にはSV=0Vではなく、流量制御下限値2%未満の信号が入った際にこのモードを働かせています。この閾値は、メーカーにより色々で1%付近だったり、もっと0に近かったりします。これは「0Vという信号」を電気的に安定して入力するというのが難しいからです。

もう1つは、外部から任意のタイミングで、流量制御モードを強制バルブ閉モードに変更する信号を入れる事です。

この信号は、MFCの電気コネクターでは、SV入力とは別のピンがあり、そこに-15Vを入力したり、COMとショートさせることで動作します。(メーカーによって異なりますので、要確認です。

「バルブ強制閉信号」、「VOR」と言われる機能ですね。

このモードは、前述の通りメーカーによる動作信号種の差もあったり、中にはこの機能を装備していないメーカーもあるので、装置側から見ると少し使いにくい機能といえます。

今、アナログ信号で説明しましたが、デジタルの場合は、電圧信号のノイズ影響のような不確かさはありませんから、どちらのモードを使っても確実な動作は保証されます。バルブ強制閉コマンドが統一されていない場合は、前者のオートシャットオフ機能付きのMFCで、SVを0にすればOKです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan