真・MFC千夜一夜物語 第298話 流量とは?流量計とは? その7
超音波式流量計
超音波とは「周波数が2万ヘルツ以上の、人間の耳には音として聞こえない周波数をもつ音波」のことですね?
これを利用した流量計が超音波式流量計です。
測定方式は種々あるのですが、流れの上流側と下流側から交互に超音波を打ち込み、伝播時間の差を測る時間差式が主流です。
ただし、この方式は測定対象が清浄な流体に限定される弱点があります。
超音波は物質を透過して伝播するため、送受波器を流体導管の外側に取り付けて、内部流体の流速を測るクランプオン型を提供できるのが強みで、他の流量計があくまで配管にインラインで取り付けて使用しないといけないのに対して、大きなアドバンテージを持っています。
つまりずっとある場所に固定設置して流量を測り続ける必要がないような場合、屋外の配管設備を数か所で定期流量点検を行うような用途には最適な流量計なのです。
その為、大口径配管の流量を経済的に測る方法としてよく用いられています。
液体よりも音波の伝導特性が低い気体は苦手とする傾向があり、基本的には液体用です。
また、測定する配管内が液体で満たされていないといけない為、細管での微小流量液体対応も弱い傾向があります。近年は半導体製造装置向けに改良され下図にあるU字型センサーでは、L/minオーダーを測定できるタイプも登場してきています。
超音波式流量計を実際使用する上でトラブルの原因となるのは気泡の混入です。
気泡への対策としては、脱気装置(デガッサー)の設置がお薦めです。
液中に溶け込んだ気体を途中で脱気するには特別な仕組みが必要になります。
脱気装置の一例としてスパイラル状のフッ素樹脂製配管を気密性高い真空チャンバーに入れ、チャンバー内をポンプで真空引きすることで、フッ素樹脂配管の内外で圧力差が生じ、液体に溶け込んだ気泡を引き抜くシステムがあります。
脱気装置の詳細は過去記事を参照下さいね。
超音波式流量計は従来液体用であると解説しましたが、近年気体用も実用化されています。
そのメイン用途はガスメーターです。
13A(都市ガス)の流量測定を行える超音波式流量計はガスメーカーと流量計メーカーのコラボレーションで複数実用化されています。
なによりも流体に非接触である超音波式流量センサーは、異物にも強く長期にわたって繰り返し性を維持できますし、しかも低圧力損失構造なので、燃焼ガスのようにそもそもの供給圧力を高く設定できない流体には最適な方式なのです。
今後の気体の流量計測&測定に於いて、超音波式は伸びていく流量計の一つではないかとDecoは考えています。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan