真・MFC千夜一夜物語 第513夜 それはMFCでやるのは無理ですよ その4

2026年04月07日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
マスフロー(MFMとMFC)でこういうシステムを組んだが上手く動かない!」というユーザーからの声に対して、「それはちょっと無理ですが・・・」とDecoが答えた事例を紹介します。(取り上げる事例は、筆者の経験のある事例のいくつかを組み合わせて、解説しやすいようにアレンジした架空のものです。)

③ 流入するガスの温度にチャンバーの圧力上昇カーブは影響される

流入するガスの温度は見落としがちな要素です。
気体の状態方程式PV=nRTを紐解けば、わかることなのですが、いくら質量流量計の一つである熱式流量センサーを搭載したMFCで流量制御しようと、その下流のチャンバーに入り込むガスの体積は温度により膨張、収縮し、その結果圧力は変動していまいます。

この若い技術者が考えたフローにある温度計の役割は重要なのです。
チャンバーの前段で流入してくるガス温度を安定させる為に、ここに熱交換器を設ける案をDecoは過去に提案したこともあります。
そしてあまり知られていないのですが、熱式流量センサーの場合、温度・圧力条件にそのコンバージョンファクター(CF)が左右されるという問題も存在します。
質量流量計である熱式流量計は、流体の物性である比熱に依存している為に、もう一つの質量流量計であるコリオリ式のように流体が不明な状態で正確な流量測定ができず、限定した条件での質量流量計になります。

熱式流量計の流量式にはCp=流体の定圧比熱というファクターが含まれています。
熱式流量計の測定対象流体は気体の場合が多く、気体では圧力条件のよるエンタルピーの変化量が大きい為に定圧比熱を用いているのです。
要は熱式流量計を質量流量計として機能させるためには、流体種を特定することで定圧比熱を正確に求めなくてはいけないのです。
例えば窒素の定圧比熱は1気圧=1013hPa(A)条件の場合、0℃で1043J/kg℃であり、50℃でも同値です。
それに対して水素は0℃:14193J/kg℃→50℃:14403 J/kg℃、アンモニアは0℃:2144J/kg℃→50℃:2181 J/kg℃、メタンが0℃:2181J/kg℃→50℃:2303 J/kg℃等、大きなもので5%を超えるガスもあります。

温度だけではなく、圧力によるCFへの影響も無視できない場合があります。
たとえばアルゴンは0.1MPa(G)近傍ではCFが1.4程度であるが、高圧10MPa(G)を超えると1.2に近づいていく傾向があります。
40MPaでのCFはついに1を切るところまでいってしまうのです。
このようにMFCで流量制御した流量値から圧力を算出する場合は、いくつかの落とし穴に注意を払わなくてはならないのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy

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