真・MFC千夜一夜物語 第512夜 それはMFCでやるのは無理ですよ その3
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
「マスフロー(MFMとMFC)でこういうシステムを組んだが上手く動かない!」というユーザーからの声に対して、「それはちょっと無理ですが・・・」とDecoが答えた事例を紹介します。(取り上げる事例は、Decoの経験のある事例のいくつかを組み合わせて、解説しやすいようにアレンジした架空のものです。)
② MFCの流量制御バルブではガスの完全閉止はできない。(しかもガスは水素)
よくマスフロー講習会で「水素はMFCにとって天敵のようなガスである。」と解説させてもらうことがあります。
水素というガスは、空気との混合では爆発下限4%という非常に爆発しやすい性質と、更に拡散しやすい性質を持っており、その可燃性ガスとしての危険度は非常に高いのです。
流量制御不良でオーバーシュートした水素が大量にリアクターに流れ込むような事態は、大きな事故の引き金になりかねません。
そして水素は密度が小さく、軽くて、拡散しやすい=小さな隙間からでも流れていきやすい性質を持ち、MFCの流量制御バルブにとっては扱い辛い性質なのです。
水素は窒素に対して密度では1/14です。

水素用のMFCは、バルブ部にかなり小径のオリフィスを使っていて、バルブのリフト量も小さく抑えています。
一言で言ってしまえば、「
できるだけ一気に流れないように」調整されているのです。
MFCのバルブ自体が他のガスに対してもそうなのですが、バルブをほんの少しだけ開けて、ガスを漏らすように流します。
特に水素はその傾向が顕著で、非常にナーバスなセッティングなのです。
このようなバルブ調整を施してあるが故、バルブの締め切り性能には期待ができません。
バルブシートの材質により内部リークが発生してしまいます。
この漏れ量は弁座がSUS等で構成されたメタルバルブでは大きく、次にPTFE等の樹脂、バイトンのようなフッ素ゴム系の順番で小さくなる傾向がありますが、これに温度変化による線膨張係数を考慮するとSUS-316Lは16.4、PTFEが10、バイトンは15.8(いずれも記載数値×10-6/ ℃)となるので温度影響を含めると、どの材料締め切り性能は微妙なところだと言えます。
MFCの流量制御バルブの役割はあくまで流量コントロールであって、閉止弁ではありません。
これはやむを得ないところなのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
