真・MFC千夜一夜物語 第511夜 それはMFCでやるのは無理ですよ その2
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
「マスフロー(MFMとMFCの総称)でこういうシステムを組んだが上手く動かない!」というユーザーからの声に対して、「それはちょっと無理ですが・・・」とDecoが答えた事例を紹介します。(取り上げる事例は、筆者の経験のある事例のいくつかを組み合わせて、解説しやすいようにアレンジした架空のものです。)
前回提示したフローがなぜ上手く機能しないのか?前回指摘した4つの内容を順番に解説していきましょう。
① MFCは流量を制御するのであり、圧力制御は行っていない
本ブログで何度も説明していますが、圧力制御は本来APC(Automatic Pressure Controller)の仕事です。

MFCと一部のAPCは似通った機能を持った製品です。
図の各々の機器の構成を見ればMFCの流量センサーを圧力センサーに変えたものがAPCであるとわかりますね?
MFCが「流体の流量を測定し、予め設定された流量値になるように制御バルブで流量を制御する」のに対して、APCは「流体の圧力を測定し、予め設定された圧力値になるように制御バルブで流量を制御する」のです。
もう少し細かく解説すると、APCは「流体の圧力を測定し、予め設定された圧力値になるように制御バルブで流量を制御し、その制御した流量を送り込む、もしくは引き出す事で、結果として圧力を制御する」機器です。
APCに搭載されているバルブはMFCと同じ流量制御用のものです。
バルブ開度を調整すること=バルブでの圧力損失値を可変することで、流量を増減して結果的に圧力を作り出しています。
APCがセンシングするのはあくまで圧力ですが、バルブが制御して生じるのはあくまで流量であるという点で、同じ圧力を調整する機器である調圧弁(レギュレーター)の弁構造とはかなり異なるのでした。

今回の事例では、制御したいのはあくまでチャンバーの圧力です。
MFCは流量設定信号(目標値SV)に従って、搭載している流量センサーからの流量出力(測定値PV)とSVが同値になるように、MFCの流量制御バルブへバルブ制御信号(操作量MV)を送っています。
つまり、このフローではチャンバーへ送る流量を制御しているのに過ぎないのいです。
これで規定時間以内に精密な圧力制御を行うためには、チャンバーと配管の正確な体積、温度をモニターしながら、MFCへのSVを算出して流量設定を変えていかなければならないことになり、サフローにある単純な流量制御では対応できないのです。
そこで追加されるべきなのは、チャンバーの圧力を圧力センサーでモニターし、それを元にMFCへのSVを自動的に設定する方法=カスケード制御です。
カスケード制御とは、自動制御における追従制御の一種です。
一つの制御系からのある出力信号によって別種の制御系の設定値を作り出し制御する方法ですね。
しかし、圧力を測定して、それを必要な流量値に演算して、流量設定信号SVを作り、流量出力PVと同値になるよう、MVを操作するなどという紛らわしいことをするなら、APCでやればいいのではないか?となりませんか?
実はMFCのいろいろな用途の内、この話のようにAPCに席を譲った方がいい案件はいくつもあるのです。
流量値も管理したいとの要望がある場合は、MFMとAPCの組み合わせで対応すればいいです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
