真・MFC千夜一夜物語 第506夜 MFCを取り巻く環境での事故事例 その2
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
前回からマスフローマスフロー(MFMとMFC)が使用される環境での事故事例を紐解き安全に関して解説しています。
Decoがマスフローの営業でデビューしたころに安全教育でよく取り上げられたガスがモノシラン(SiH4)でした。
モノシランは半導体、太陽電池、光ファイバーなどの製造プロセスでよく用いられていたガスですが、常温で大気に放出され空気に触れると発火する危険性を持っています。
モノシランを窒素などで希釈して濃度1%未満の混合ガスとして使用しても同じである為に、「希釈してあるから安全」とは考えないでください。
また、リーク箇所から早い流速で漏れ出たモノシランはいきなり燃えずに空気に混合し、その後に激しい爆発を起こすこともあるそうです。
このモノシランの悪名を高めたのが、1991年に発生した大阪大学での爆発事故でした。
プラズマCVD装置で実験中にモノシランの容器(ボンベ)が突然爆発し、飛散した容器の破片で死者2名、軽傷者5名の人的被害と、都市ガスおよび有機溶剤に引火し火災が発生したことで4教室(300m2)を焼失しました。
当時モノシランの外部リークによる発火の危険性は既に国内で事故事例があったため、事故が起きた研究室でも容器をシリンダーキャビネットに入れ、その内部を常時排気して除害装置に導かれるようにされていました。
事故調査では、原因として同じキャビネット内にあった亜酸化窒素とモノシランの混合が挙げられています。

図で問題の生じたフローを示します。(今回の説明に必要な部分だけ摘出して図示したものであり、事故が生じた配管系のすべてを網羅したフロー図ではありません。)
モノシランと亜酸化窒素は装置側への供給系では交わらないように設計されていたのですが、窒素パージラインだけは配管を共有しており、逆止弁とボール弁で亜酸化窒素がパージラインには流れ込まないように設計されていました。
亜酸化窒素側の逆止弁の内部構造部品であるOリングが何らかの原因で破損した為に逆止弁が本来の機能を果たしてなかったのではないかと推測されています。
亜酸化窒素が窒素パージラインを通じてモノシラン容器直近に到達して混合し、バルブ操作で生じた断熱圧縮、もしくは静電気で着火し、炎がモノシラン容器に到達し爆発したのではないかという結論でした。
逆止弁のメンテナンスは当然必要ですが、根本的に反応することで危険な状況を作り出すガスがパージラインといっても同じ配管でつながれていたことが問題であり、この事件以降法令で禁止されるようになりました。
この悲惨な事件を通じてモノシランの危険性がようやく認識されるようになり、半導体の層間絶縁膜CVD用途でもモノシランの代替が進むのですが、やはりこのガスの需要多く、十分な知識がないままに機器選定や配管施工をするのは大変危険なのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
