真・MFC千夜一夜物語 第505夜 MFCを取り巻く環境での事故事例 その1

2026年02月10日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回からマスフロー(MFMとMFC)が使用される環境での事故事例を紐解き安全に関して解説していきましょう。

昨年もDecoの住まいに近い埼玉大学工学部実習工場・研究実験棟において、教員1名が負傷する爆発事故が発生しました。実験中に容器(一般的にはボンベと呼称されています)が引火して爆発したとのニュースの一報を聞いた時に、Decoはどうしてもある事故のことを思い出してしまいました。
今回は1名の負傷で済んだのですが、嘗て同じ大学研究機関で尊い人命が失われた悲惨な事故が発生しことがあったっです。今回からの解説でその事故事例を再度紐解きながら、流量計やマスフローがおかれる環境が、いかに紙一重で危険なものであるかを再認識してもらいたいと思います。

特殊高圧ガスモノシランが引き起こした事故事例
その事故の主役になったのはモノシランガスです。
モノシランに関してはこのブログでも何回か解説していますが、改めてお話ししましょう。
モノシランは特殊高圧ガスに分類されます。

特殊高圧ガスとは一般的な高圧ガスよりも危険性が高いガス群のことでしたね?
それぞれが広範囲の爆発範囲を持ち、自然発火性や分解爆発性のような可燃性、限界濃度が極めて低い毒性を持っていることが、危険と判断された理由です。
爆発範囲に関しては水素が4.0~75vol%(空気)なのに対して、ホスフィンが1.32~98vol%、モノシランは1.37~100vol%、ジシランに至っては0.5~100vol%です。
この3種は、常温の大気に触れることにより発火します。
これらのガスはそのリークを止めない限り、消火器で消し止めてもそれは支燃性ガスである空気を遮断しただけであり、再度空気に触れれば燃え続ける性質を持つ恐ろしいガスです。
更に分解爆発性を持つモノゲルマンは、支燃性ガスを必要とせずに、このガスのみで発火元があれば燃え上がり爆発する大変危険なガスです。

モノシランから少し脱線しますが、特殊高圧ガスではないものの分解爆発性で有名なガスにアセチレン(C2H2)があります。
冒頭で取り上げた埼玉大学の事故はこのアセチレンガスであったのではないかという報道がなされていましたし、やはり昨年東京で地中に埋められていた容器っからの漏洩で爆発したのもアセチレンでした。
ある意味シランよりも身近に存在している危険なガスなのです。
アセチレンは可燃性ガスの中でも非常に高温で燃焼するので、金属の溶接・溶断加工に適しています。また、フレーム原子吸光分光計のような分析装置や、ダイヤモンド薄膜製造装置等にも使用されています。
しかし、液化ガスとして容器に詰めたアセチレンは容易に爆発事故を起こしてしまうのです。
過去にはそれで輸送中に事故が相次ぎました。
その為、現在ではアセトン等に溶解させて容器に充填して使用されているのです。(ボンベ色は茶色の為、一目で識別できます。)

なお、このような分解爆発性に関しては、各種ガスで実験検証が行われており、モノシラン、アルシン、ジシラン、ホスフィン、ジボラン、セレン化水素に関しては分解爆発がないことを実証されていますが、それで安心してはいけません。
分解反応で生成する熱量が大きいガスはその結果、容器内圧力が急上昇することになり、容器の破壊圧を超えることで破裂事故が生じるからです。
定められた充填量を守り、火災により容器周辺温度が上昇しないように火気には十分注意しなくてはならないのです。
次回はモノシランが実際に引き起こした悲惨な事故事例をお話しします。

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