真・MFC千夜一夜物語 第504話 再度マスフローの弱点を語りましょう その12

2026年02月03日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
本ブログの最初の方でお話ししたマスフロー(MFMとMFC)の弱点解説をリニューアルしていきます。

6.ヒューマンエラーと配管系で不測のトラブル

前項にあったゼロ調整スイッチ操作ミスの話の続きになりますが、そもそも機械ものでは、それを操作する側の人間のミスはつきものです。
魔が差したというヤツです。
それに対して、機械には魔が差すことははありません。バグはありますが・・・

今、聞けば笑い話なのですが、困ったトラブル事例の話をしましよう。
アルゴン(Ar)と書かれたガス系に取り付けられたMFCの流量がどうしても合わず、再校正して客先に持ち込んだMFCで夜中まで検証しても原因がわかりませんでした。
このトラブルの原因はなんとMFCに供給されるアルゴンラインに空気ラインが間違って繋がれていたからでした。
「配管施工業者がフロー図のArとAirの記号を読み間違えて配管したことが原因で、実はアルゴンのMFCに空気が流れていた」と、翌日眠い目をこすりながらユーザーからの謝罪の電話を聞いたときは、思わずDecoも白目を剝いたものでした。

それとは別に機器の相性による不測のトラブルというものもあります。
事前にこういったリスク考察を怠るのも、一種のヒューマンエラーといってもいいかもしれませんね。レアなトラブル事例では、Decoが経験した磁界影響があげられます。
磁力を利用するデバイスは案外多いのです。
例えば電磁弁と呼ばれるバルブは電磁石で弁を開閉します。
MFCにも電磁弁を応用して比例制御できるソレノイドアクチュエーターを搭載したバルブシステムが存在します。
このタイプは、当然外界からの強い磁界の影響を受けやすいのです。
熱式センサーは温度影響を受けるというのと同じ理屈ですね。

Decoの体験談ですが、顧客に新規採用してもらったソレノイドアクチュエーター搭載型のMFCの流量制御がふらつくというクレームを受け、現場に赴きました。
社内で調整済みの交換用の新品を持参して交換して頂いても同じ現象が発生。
ガスボックスを覗きこんで、MFCチェッカーを挟むために、一旦コネクターの固定ネジを取り外そうとドライバーを差し込んだとき、唐突に答がわかりました。
作業者からの死角になる位置でMFCにはかなり近い場所に真空計があり、差し込んだドライバーが、不覚にもその磁力に引っ張られ、引き寄せられてくっついてしまったのです。
MFCのソレノイドバルブは、電磁力でアクチュエーターを動かし、流量調整弁とオリフィスのギャップをコントロールしています。
ところが、ドライバーが吸い付く程の磁界を発生させている機器が隣接することで、その影響を受けアクチュエーターの動作が不安定になり、流量制御がふらつくというトラブルが発生していたのです。
ユーザーに報告して真空計の配置を変更して頂くことでこの問題は解決しました。
実はその前に使用されていたMFCは第1世代MFCのサーマルバルブという、熱膨張アクチュエーターであった為、MFC交換前は何の影響もなかったというオチでした。
顧客、メーカー双方が磁界影響というファクターを見落としていたが為の問題でした。

マスフローの弱点と、その対処方法の一部を解説してきました。
業務で全てに優先されるのは、まず安全です。
マスフローの弱点と、その対策を把握することで、不慮の事故やトラブルから作業員を守り、安全な流体制御の実現することが選定者にとって最重要な項目です。
ヒューマンエラーこそが、大きな事故の引き金になりかねない事は流体制御に関わる者にとって、肝に据えておかねばならないことです。
この記事が注意喚起の一助になれば幸いです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy