真・MFC千夜一夜物語 第503話 再度マスフローの弱点を語りましょう その11
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
本ブログの最初の方でお話ししたマスフロー(MFMとMFC)の弱点解説をリニューアルしていきます。
5.ゼロ調整での人為的ミス
マスフローの点検項目の一つにゼロ再調整があります。
流量の基点となる流量出力信号ゼロの位置を、実際の流量のゼロと一致させる行為です。
昔のマスフローは、可変抵抗のトリマーを時計ドライバーなどで回しながら調整していました。
これはなかなかコツがいる作業でした。
なぜなら装置の構造上、ガスボックスの中にあるマスフローのトリマー位置から、制御パネルにある流量表示器が見えるわけはないからです。
トリマー調整側、表示確認側と二人組でやったりすると、息が合わないとなかなかピッタリゼロにできません。
それに時計ドライバーが金属の場合、トリマーと接触している間は抵抗値が変動してしまい、ちゃんとあわせてもドライバーを離すとずれることもあったのです。(今のデジタル回路のマスフローしか触ったことのない読者には驚きでしょうね。)
その為、Decoはセラミックドライバーを鞄に常備していた時期もありました。
これが高価なのにすぐ折れてしまい、当時は自腹で買っていたので涙が出たました。
しかし、デジタルMFCが登場してからは、ゼロリセットスイッチを数秒押し続けることでゼロ調整ができてしまう優れものの機能が搭載されたので、この作業は大変楽になったのです。

画像出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
ところがデジタルで楽になった故の盲点もあります。
このスイッチを実際の流量ゼロではないときに操作してしまった場合に生じる問題です。
もちろん過大なオフセット要求には、マスフロー内部のソフトでブロックを掛けているメーカーもあります。でも誤操作かどうかをマスフローが判断できない以上、ゼロのズレ幅としてあり得るような範囲、フルスケール10%程度までならばブロックされずにリセットがかかってしまうのです。
MFCへのガス導入を上流のバルブで閉止してこれを行おうとしたが、バルブからの出流れで微量のガスが流れている状態でゼロリセットしてしまった、MFC前後のバルブを完全に閉止して流れを止めたつもりでも、MFC内部に封じ込められたガスがサーマルサイフォニング現象などでセンサーチューブ内を移動しており、それに気がつかずリセットしてしまった、こういった人為的なミスは後を絶ちません。
本来は真空装置ならば完全にガスを真空引きで抜いた後に行う等の、ゼロリセット機能を操作する際の約束事が必要でしょう。
そういった準備を疎かにして、ただマスフローのスイッチを押すだけの作業にしてしまってはいけないということを、認識してください。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
