真・MFC千夜一夜物語 第496話 再度マスフローの弱点を語りましょう その4
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
本ブログの最初の方でお話ししたマスフロー(MFMとMFC)の弱点解説をリニューアルしていきます。
混入した異物が液体の場合は、また異なる問題が発生します。
液体用のマスフローに気体が混入したときもこれと似た傾向が発生しますので、一緒に説明します。
液体が混入して、固体と同じように閉塞を起こした場合は前回と同じです。
厄介なのは、閉塞まで行かずに微量の液体がセンサー管周辺に溜まった場合です。
熱式流量センサーだと巻線型でもチップ(MEMS)型でも同じで、気体と液体という大きく密度の異なる状態のものが混在することで、センサー部の熱のやり取りは大きく変化します。

例えばH2O=水は4℃で液体の状態が密度1000kg/m3ですんね?(水は密度が固体より液体の方が高いのです。これは密度の最大値が摂氏4℃条件だからで、その為に氷はグラスに入れた水に浮かぶのです。) 水の気体状態=水蒸気での密度は、100℃、0kPa(G)に於いて0.598kg/m3です。
液体の場合100℃でも、958.393 kg/m3。
この例は当然、100℃で液体であるという前提で圧力を言及していないので単純比較してはいけませんが、H2Oでも状態の違いで、同一体積の流体が熱を奪う量に大きな差があるということを説明したくてお話ししてます。
気体が流れているマスフローのセンサー部に液体が混在した場合、またはその逆の液体が流れているセンサー部に気体が混在した場合、いずれもセンサーからの流量出力は大きく振れ、本来想定されていた流量とは異なる値を指示することになります。
MFMの場合は、実際の流量に変化がないのに、流量出力は大きく波打つことになります。
MFCの場合だと、センサーからの流量出力信号が大きく振れるため、流量設定信号入力=流量信号出力という関係を維持するべくバルブリフト量の制御を行っても、制御不能=ハンチング状態となり、流量制御が大暴れする事になるのです。
MFCが突然流量制御を失う事態が起こると、下流側のプロセスは大変な事になりますね?
実はこういった事態は身近で起きているのです。
例えば圧縮空気をコンプレッサーでMFCへ送り込んで流量制御させている場合です。
"MFCへ導入するガスは乾燥状態で"というマスフローメーカーさんの注意書きが取扱説明書に記載されていると思いますが、そもそもコンプレッサーエアーの場合、その源となる大気中には、場所や天候による差こそあれ、かなり水分が含まれています。
水分をトラップする等の露点管理を行わないと、突然MFCが制御不能という"反乱"を起こす事態が起きるかもしれないので、十分な注意が必要なのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy
