真・MFC千夜一夜物語 第488話 液体用質量流量計について話しましょう その2
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
この章では液体用質量流量計(熱式)に関して解説しましょう。
まずは熱式の液体用流量計とはどういうものか?製品を紹介するところから始めましょう。
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)はコリオリ式MFM、MFCでこの10年大きくシェアを拡大したオランダのマスフローメーカーです。
コリオリ式液体流量計で有名になったブロンコストですが、熱式の製品も存在しています。
微小流量液体用µ-FLOWシリーズです。

微小流量液体用µ-FLOWシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
微小流量をフォーカスしており、その範囲は最小レンジ5~100mg/h、最大レンジ0.1 ~2g/h です。
ただし、水に熱的性質が近い流体向けに限るという条件付きです。
熱式が流体の比熱に感度を左右される事により生じるコンバージョンファクター(CF)のゆらぎの問題を抱えていることは、本ブログの読者には既におわかりでしょう。
µ-FLOWシリーズの流量センサーはバイパスのような分流構造を持たない単管構造となっています。
基本的に可動部が無く、何の障害物も存在しないスルーフロー構造なのです。
熱式センサーでありながら、流体は僅かに暖められ(Max.5℃)るだけなので、低ボイリングポイント液体にも使用可能です。
もちろんバイパスで流量を補えない単管構造であるが故に流量レンジは微小に限られます。
ブロンコストの他のラインナップと変わらずデジタルPCボードを搭載したデジタルマスフローとしてアナログ信号(電圧、電流信号)入出力、デジタル通信は標準のRS232、オプションとして CANopen、DeviceNet、 EtherCAT、PROFIBUS DP、 PROFINET、 Modbus RTU、Modbus TCP/IP、 EtherNet/IP、 POWERLINK そしてブロンコストオリジナルの FLOW-BUSという幅広い選択肢が用意されています。
また圧力定格はブロンコストらしく 40MPa(400Bar)という高い圧力まで対応しており、その高耐圧構造を評価されて、数々のアプリケーションに採用されています。
特に高速液体クロマトグラフ法(HPLC)のポンプ制御で多くの実績を持っているようです。
*HPLCは液体中の成分を固定相と移動相の相互作用の差を利用し分離・検出する手法で、測定対象に応じて分離方法・検出器を選択することで、低分子~高分子、低極性~高極性化合物まで様々な有機化合物の定性・定量が可能な分析装置です。
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