真・MFC千夜一夜物語 第481話 水素社会で脚光を浴びる防爆構造マスフロー その6
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。質量流量計の安全面での注目を浴びている防爆構造マスフローメーターの解説をしていきましょう。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のmini CORI-FLOW Ex-d シリーズは、上図にあるように耐圧防爆ケース(Ex d box)にmini CORI-FLOWTMを収めたシンプルな構造です。
全ての電気配線は耐圧防爆ケースに直結された電気ハウジング部のネジ込み式のターミナルにより接続される形をとっています。
これにより爆発が生じた際も、その防爆ケース内に被害を留めることができるのです。
爆発が生じるエネルギーを送り込まないのが趣旨の本質安全防爆とは真逆の思想であり、その特性を活かして機器内部の結露や流体の凝固を防止するヒーターをオプションでケース内に備えることもでき、加熱温度を監視し制御するための外部制御ユニットも追加できます。
内蔵されるMFMは標準タイプのM12/M13/M14と同じ仕様で、3種で100 mg/h~30 kg/hの流量レンジをカバーし、ガス・液体の双方を測定可能です。(ただしガスは密度が小さい為、圧力条件で制限がありますが・・・)
最大使用圧力は、XM12/XM13が13.8MPa(A)、XM14が10.7MPa(A)です。
耐圧防爆構造マスフローの長所は、内蔵されるマスフローは通常仕様品である為、非防爆製品と性能面で見劣りがしない事です
本質安全防爆構造品の場合、基板で使用する電流量を制限していること、非危険場所までの長距離伝送を伴う事から、通常製品より性能面でどうしても劣ってしまいます。
コリオリ式は熱式より高性能、高速応答を謳っているのですから、それをスポイルしての防爆対応は望まれてはいないかもしれないので、評価できる防爆構造かと思います。
逆に耐圧防爆構造製品のウィークポイントは、用意された耐圧防爆ボックスの形状により搭載できる機種に制限がかかることです。
本質安全防爆構造が電気部を流用して広い範囲の流量レンジに対応しているのに対して、mini CORI-FLOW Ex-d シリーズでは、mini CORI-FLOWシリーズにあるM15のようなさらに大きなレンジの製品がラインナップに入っていないことからもわかります。
また耐圧防爆構造の場合、耐圧容器にかかるコストから本質安全防爆構造よりも製品価格が高額になるのが弱点であると言えますし、耐圧容器はブロンコスト以外の専門メーカーの製品であり、納期がかかる可能性もあります。
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