真・MFC千夜一夜物語 第480話 水素社会で脚光を浴びる防爆構造マスフロー その5
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
質量流量計の安全面での注目を浴びている防爆構造マスフローメーターの解説をしていきましょう。
今回は耐圧防爆構造MFMのお話になります。
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V.)の耐圧防爆型コリオリ式MFM mini CORI-FLOW Ex-dシリーズはJPExを取得した耐圧防爆構造コリオリ式MFMです。

mini CORI-FLOW Ex-dシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
ご紹介してきたようにブロンコストのガス流量測定向け本質安全防爆構造EX-FLOWシリーズでは先んじてATEX/IECEx認証(Ex ib IIC T4 Gb)を取得しています。
ブロンコストのマスフローが守備範囲とする広い流量レンジほぼ全てを網羅できており、耐圧容器に収めるタイプの耐圧防爆構造のMFMよりも同仕様ならば小型であるだけでなく、流量・圧力のバリエーションに富み、かつコストが安いというメリットを提供できたるのです。
ここで更に世界中で大きな支持を得ている同社の微小流量コリオリ式マスフローへも本質安全防爆構造の電気回路部を流用して、コリオリ式マスフローの本質安全防爆モデルにも展開したいところ・・・なのですが、残念ながら熱式とコリオリ式ではセンサー構造が異なるため、電気系を共通設計にすることができません。

上図にお馴染みの熱式センサーとコリオリ式のセンサーの一般例を示します。
熱式が流体固有の物性である定圧比熱に着目して、流体が奪う熱量を流量信号に変換するのに対して、コリオリ式は仮想回転系としての振動系を通過する流体の発生するコリオリ力でのチューブの捻じれの位相差を光ピックアップ等で検出することで流量信号に変換しています。
どう見てもこれは回路を共用できない別種の流量センサーであることがわかると思います。
せっかく構築した熱式流量センサー対応の防爆回路が応用できないが為に、熱式は防爆対応OKだがコリオリ式はNGという製品ラインナップになってしまいます。
でも、ブロンコストのラインナップにはコリオリ式での防爆対応マスフローは存在しているのです。それがmini CORI-FLOW Ex-d シリーズです。
耐圧防爆ケース(Ex d box)にmini CORI-FLOWを収納した製品です。
爆発等級及び機器保護レベルはIEC Ex認証 (Ex d e IIB T6 Gb) 、およびATEX認証 (II 2 G Ex d e IIB T6 Gb)です。
このモデルでのJPExを取る形でブロンコストは動きました。
結果、DEKRA Certification B.V.にて、耐圧防爆構造(db) と 安全増防爆構造(ed) での防爆構造電気機械器具型式検定合格証を2019年10月30日付で取得できたのです。
発火度、爆発等級及び機器保護レベルは、国内防爆 (IIB T6 Gb)となります。
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