真・MFC千夜一夜物語 第479話 水素社会で脚光を浴びる防爆構造マスフロー その4
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
質量流量計の安全面での注目を浴びている防爆構造マスフローメーターの解説をしていきましょう。
熱式流量センサーは流体による熱の移動を捉える方式であるが故に、防爆という観点では誤解が多かった歴史があります。
流体に熱を加えることのリスクを過剰に反応されていたのですね。
しかし、ガスの測定量はセンサー管を通る微小な流体に対してであり、更に巻線方式のセンサーの場合は直接流体に接触はしていないので、懸念されるような問題はあり得ないのです。
ただし、本質安全防爆構造の場合、その趣旨からいって最小点火エネルギーを下回る電力しか供給できない為に、本質安全防爆構造のマスフローは24VDC 20mA以下の信号で電源供給と流量信号のやり取りを行わなくてはいけません。
ブロンコストの本質防爆構造マスフロー EX-FLOWシリーズをベースにして説明していきましょう。

EX-FLOWバリエーション 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
流量出力は15~20 mA (線形)で端子台接続となり、本質安全防爆Ex ibⅡCに対応した認証済みの本質安全回路への接続専用となります。
その為、非危険場所に設置する専用設計のバリア内蔵電源・信号変換器が供給されます。これと接続することで初めてMFMとして動作することになるのです。
つまりEX-FLOW自体は厳密にいうとMFMではなく流量発信器、マスフロートランスミッターなのです。(聞きなれない言葉だと思うのですが、圧力センサーに置き換えて表現するならば、圧力トランスミッター的な存在だとお考え下さい。)
EX-FLOWを危険場所に、そして非危険場所にはバリアと信号変換器と電源で校正されたTSPM-003((株)タテヤマ製作所)のような機器とで本安ループを構成する事で、初めて4-20mAのアナログ信号へ変換して運用することができるのです。

EX-FLOW 接続イメージ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
EX-FLOW のMFMモデルは流量範囲:0.16~8 ml/minという小流量レンジモデルから220~11,000 m3/h という大流量レンジモデル(いずもAir換算、Normal 0℃、1013hPa校正)まで対応し、圧力範囲:真空~40 MPaという今までのブロンコストの熱式マスフローラインナップのほぼすべてを網羅しているので、幅広い用途に対応ができます。
これは本質安全防爆構造が、点火源である電気系に対する要求であり、その要求は基板が収まるヘッド部分に集中する為なのです。
つまり、その他の部分、ボディ構造、流路構成は従来モデルのそれがそのまま応用できるという利点がEX-FLOWにはあるのです。(上の画像で同じ形状のヘッドパーツが使用されているのが確認できるかと思います。)
その為、耐圧容器に収めるタイプの耐圧防爆構造のマスフローよりも同仕様ならば小型であるだけでなく、流量・圧力のバリエーションに富み、かつコストが安いというメリットを提供できるのできます。現時点で韓国防爆規格KOSHA認証 KCs(Korean Certificate Safety) でEx ib IIC T4 も取得しており、こちらも着実に国内メーカーの韓国への輸出装置への搭載実績を増やしているそうです。
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