真・MFC千夜一夜物語 第478話 水素社会で脚光を浴びる防爆構造マスフロー その3
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
質量流量計の安全面での注目を浴びている防爆構造マスフローメーターの解説をしていきましょう。
ブロンコスト・ハイテック(Bronkhorst High-Tech B.V. 以下ブロンコスト)は多岐に渡る製品群を擁し、さまざまなマーケットにおいて革新的なソリューションを提供しています。IP40ラボラトリー型、IP65インダストリー環境型、半導体真空装置向け、分析装置向け等の幅広いラインアップで顧客の用途に合わせて造り込まれており、その中でも他社に無い特殊なラインアップとして、危険場所用の防爆構造マスフローのEX-FLOWシリーズが存在しています。

本質安全防爆構造EX-FLOWシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
EX-FLOWシリーズのMFMは危険場所でのガス流量測定向けの構造となっています。
本質安全防爆構造である熱式流量センサーと基板部は先んじてATEX/IECEx認証(Ex ib IIC T4 Gb)を取得し、更に2017年になってTIIS認証(Ex ib IIC T4)を取得しました。(労(平29年2月)検/検・第TC21584号)
防爆に関しては、ブロンコストはオランダのメーカーである事から、当然ATEXを優先して取得しているのですが、これはATEXがEC指令 94/9/EC により、CEマーキング適合指令の一つとして、2003年7月より「強制(compulsory)」となった為です。
ATEXはフランス語の「Atmospheres Explosives」の意で、これまでのCEマーキング適合指令と同様に、これ以降は、EC加盟国域内で、製造、販売、流通、設置される爆発性雰囲気での使用を目的とした電気機器や災害防止システムは規制の対象となっています。
その為、現在EUでは、CEマーキングに関するATEX指令(新指令2014/34/EU 94/9/ECの型式試験証明書は引き続き有効)に適合し、指定された表示のつけられた製品でなければ取り扱いが一切できないのです。

先程説明した危険場所に近い観念として、ATEXではゾーンとカテゴリーで区分けしています。
日本の防爆でいう危険場所の定義と、ほぼ同様す。
ブロンコストのATEXでのEC-Type試験番号KEMA 01ATEX1172, protection II 2G Ex ib IIC T4 Gbとなり、下図に示す内容となります。

(因みにGroup Ⅰの炭鉱用 は日本では"炭鉱防爆"として管轄省庁が経済産業省となり、前章で紹介した防爆=厚生労働省管轄の"工場防爆"とは別に存在しています。
こういうところが複雑な行政の枠組みですね。)
このIECEx / ATEX指令防爆対応EX-FLOWを、日本の防爆仕様に対応させるべくTIISへ申請し、数年の時間と費用を費やして、TIIS認証(Ex ib IIC T4)を取得したそうです。
Decoもよく知っていますが、普通の海外MFCメーカーなら、日本にのみフォーカスした防爆認証に投資するという決断はなかなかできないもので、ブロンコスト・ジャパンのチャレンジは称賛されるべきだと思っています。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy