真・MFC千夜一夜物語 第477話 水素社会で脚光を浴びる防爆構造マスフロー その2

2025年06月03日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回から質量流量計の安全面での注目を浴びている防爆構造マスフローメーターの解説をしていきましょう。

防爆に関する国内の規定はIEC 60079を元にJIS C60079として定められています。
JIS C60079-10では、爆発性ガス又は蒸気によって危険が生じる可能性がある危険区域の分類についての規定が定められており、これに定められた危険区域 (hazardous area)で使用する電気機器は予め危険に対する予防策を施さなくてはならないのです。
危険区域はガス状の爆発性雰囲気の生成頻度及び持続時間によって、図に示した 3 種類の危険度区域に分類されます。

0種場所というのは常に爆発性ガスや蒸気と接するという意味で、石油タンクのような空間内に設置されるイメージです。
それに対して1種、2種の区分けは、通常の状態=稼働状態、異常な状態=修理、メンテナンスを行う必要がある状態と考えてください。
稼働状態で危険雰囲気が生じる可能性が無いことを証明するのは難しいことです。
故に1種場所に対応できる本質安全、耐圧、内圧の3種の防爆構造が重用されているのが現状です。

各種防爆構造を図で示します。
耐圧防爆構造は内部で爆発が生じてもそれに耐える堅牢な容器に電気器具を収納する方法であり、爆発が起こっても大丈夫という思想です。
東京計装(株)とオーバル(株)から提供されている防爆マスフローはこのタイプです。

油入防爆構造と内圧防爆構造は、電気火花やアークの発生源を油やパージガスで爆発性ガスと遮断する方式です。特に内圧防爆方式はパージボックスにパージガス供給の有無を判定するマノメーターを検知装置として装着して製作すれば比較的安価であり、防爆対応がなされていないマスフローを防爆化するのに好まれた手法でした。

それら対して根本思想から異なるのが、安全増防爆構造と本質安全防爆構造です。
爆発性ガス雰囲気でも爆発しないよう火花の飛ばない、温度の上昇しない回路を取り付けた防爆構造であり、容器の破損、パージガスの遮断といった不測事態の可能性がゼロではない他の防爆方式より積極的に安全なのです。
特に正常時だけでなく事故時でも火花の発生や高温に達することが無い=爆発しない本質安全防爆構造は、安全率を多く見たiaならば0種場所に対応できる唯一の防爆構造なのです。

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