真・MFC千夜一夜物語 第476話 水素社会で脚光を浴びる防爆構造マスフロー その1

2025年05月27日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
今回から水素社会到来に伴い注目を浴びている防爆構造マスフローの解説をしていきましょう。

既に何度かこのブログで防爆構造マスフローに関して取り上げていますが、防爆構造マスフローmの需要が確実に増えている事を受け、再登板です。
今回は国内防爆認証(JPEx)に関する解説も行います。
2017年のマスフローブロンコスト・ジャパン(株)から本質安全防爆構造MFM"EX-FLOWシリーズ"のTIIS認証を取得して既に7年、"水素社会"への旗振りもあり防爆構造のマスフローに対する需要は確実に増えました。

本質安全防爆仕様MFM:EX-FLOWシリーズ【出展:ブロンコスト・ジャパン(株)】

まずは防爆に関して改めて解説しましょう。
爆発性ガスによる爆発事故を防ぐのが、読んで字のごとくの防爆の役割です。
そして労働安全衛生法第42条により、日本国内では厚生労働大臣が定めた「電気機械器具防爆構造規格」を具備した防爆構造電気機械器具でなければ、譲渡し、貸与し、又は設置することができません。
例えば石油類は常温状圧でも気化する。環境条件によっては、スイッチの開閉に伴うわずかな電気火花や静電気による火花で引火や爆発する危険性があります。
燃焼用ガス(LPG、LNG 類)も、配管の漏れが生じて空気と混ざり合う事で、やはり爆発が起きます。近年は減少しつつあるのですが、アセチレンガスの爆発事故は現在のアセトンを使った充填方式が導入されるまでは、事故が相次いだのでした。(と書いていたら、東京都江戸川区の工事現場で地中に埋められていたアセチレンボンベが大きな爆発事故を起こしましたね!)
水素社会ともてはやされる水素ガスに至っても、漏れやすく爆発範囲が広いその性質から非常に危険な存在です。

今回はガス、蒸気に話を絞りますが、防爆にはこれ以外に、空気中に浮遊している燃焼性微粉の濃度が爆発限界内にあり、点火源がある際に生じる爆発を対象にした「粉塵防爆」という分野があります。
この分野にはマグネシウム等のように、雰囲気中に酸素が少なくても爆発を起こす"爆発性粉じん"と小麦粉で有名になった酸素と発熱反応を起こし爆発する"可燃性粉塵"があります。

爆発性ガスが存在する場所を危険場所と呼称して、そこで使用される電気機器は「防爆検定に合格した製品でなくてはならない」と、労働安全衛生法、電気事業法および同関係規則、消防法を根拠で求められています。
「防爆」という語句は、類似している「防水」、「防塵」と異なり、必ずしも爆発性ガスを電気機器への侵入を防げばよいという訳ではなく、爆発事故そのものを防ぐ事が趣旨であり、その為に電気機器ではなく点火源そのものを各種手段で爆発性ガスから隔離する構造を求めている点が大きく異なる点です。
従って図に示すような複雑な規格表示となっているのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan & Safe TechnoloGy