真・MFC千夜一夜物語 第459話 質量流量を用いた最新アプリケーションは? その3
新年あけましておめでとうございます。
昨年末から年始にかけて、インフルエンザを始め新型コロナ、そしてそのいずれでもない風邪等が猛威を振るっておりますが、皆様いかがお過ごしになられましたでしょうか?
幸いDecoは今のところ感染もせず、元気に新年を迎える事が出来ました。
本年度も本ブログとEZ-Japan 黒田 誠(Deco)、そして(一社)セーフテクノロジーを宜しくお願いいたします。
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)を紹介しています。
コリオリ式流量計の説明をする際にまず「コリオリ力」の解説をするのですが、たとえ話として「北半球の極から赤道方向に向けて経線方向に大砲を撃つと、放たれた砲弾は、射手から見て右に曲がって着弾する。これは地球のコリオリ力のなせる業である。」という解説をすることがあります。
地球というのは喩えで、要は回転系で中心から玉を円周方向へ転がした際に、狙った方向と実際の動きに生じる差の原因がコリオリ力だという説明なのです。
これは地球の自転の影響で、他の諸要素を無視した場合、本来直進するはずの砲弾を曲げる見かけ上の力がコリオリ力です。
コリオリ力は、その砲弾の重さと速度、そして地球の自転角速度により計算されます。
この話が曲解され「コリオリ式流量計は地球の自転を測定原理とした流量計である。」という珍説が生まれ、まことしやかに独り歩きしてしまった時代がありました。
実際にDecoもコリオリ式流量計に関してはかなりの知識を有してると自称するユーザーから「コリオリ式流量計は、コリオリ力が発生しないの極点では使用できない。日本で使用する場合も、北海道と九州では緯度による調整が必要だ。」という驚くべき解説を披露されて困惑したことがあります。
地球の自転、つまり回転系に発生するコリオリ力の解説を、コリオリ式流量計のセンサーチューブの世界に当てはめる場合、回転系を振動系に、センサーチューブに流れる流体を砲弾(玉)と考えてください。
この振動系で流体はその質量と速度=質量流量に応じたコリオリ力を発生させます。
そうすれば地球の自転は、この世界ではコリオリセンサーチューブの振動の事であり、コリオリ流量計の利用するのは"地球の自転により生じるコリオリ力"そのものではない事がわかります。
前述の砲弾の話にしても、実際にコリオリ力を加味して弾道計算しなくてはいけないのは2000mを超える射程の場合です。
コリオリ式流量計で現在世の中にある最小センサー管長さ50cmで、しかも複雑に曲げ加工が施されている為に実際の距離は数cmしかないような世界では、例え地球の自転が影響していたとしても無視して良いのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan & Safe Technology