真・MFC千夜一夜物語 第434話 MFCの歴史を振り返ろう その10
マスフローコントローラー(以下MFC)の歴史に関して振り返っています。
DecoがMFCメーカーから離れ、一介のコンサルタント、エヴァンジェリストとして過ごして10年になります。
これを期にMFCという不思議な工業製品の技術動向をその歴史を俯瞰しながらまとめて行きたいと思います。
MFCの流量制御バルブで、サーマルバルブの次に生まれたのがソレノイドバルブ(比例電磁弁)でした。
電磁弁は遠隔操作できる閉止用バルブとしては、色んな産業用途に製品化されていますが、MFCに搭載するそれは、少し異なる特性を要求されます。
一般的なMFC用ソレノイドバルブの構造を下図で解説します。
(これもあくまで一般的なソレノイドバルブの構造を説明するもので、特定の企業の発明物、技術を指す物ではありません。)
MFCで用いるソレノイドはDCソレノイドです。
KM-45のような耐腐食性能を持つ軟磁性材料である電磁ステンレス鋼を芯とし、そこに銅線コイルを巻き通電することで発生する磁力がバルブを駆動します。
その磁力でプランジャー(可動鉄芯)を引き寄せてバルブを開閉させます。
バルブは磁力の向きと反対方向へ板バネなどでの力で押し付けられ位置決めされています。
こういった基本原理・構造は、一般的なガスライン閉止用電磁弁と同じです。
ただ、閉止用電磁弁は、ある電圧をかければ全開(もしくは全閉)という動作をすればいいのですが、MFC用のソレノイドは細やかな流量制御を可能とするために、印可する電圧に伴って少しずつ開き始めて、できるだけ徐々に全開に至る特性=全開-全閉をできるだけ広いレンジで制御できるように特別に調整される必要があるという違いがあります。
ソレノイドをアクチュエーターとして採用したMFCは、サーマルアクチュエーターを搭載したそれに対し、高速応答性と大きなバルブストローク(=流量をたくさん流せる)を持っている。
故にこの方式はMFCにとって非常に扱いやすいという評価を得て、特にTylan、Unit、Brooks等の北米MFCメーカーで多くのベストセラーMFCが産まれました。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan