真・MFC千夜一夜物語 第432話 MFCの歴史を振り返ろう その8
マスフローコントローラ(以下MFC)の歴史に関して振り返っています。
DecoがMFCメーカーから離れ、一介のコンサルタント、エヴァンジェリストとして過ごして10年になります。
これを期にMFCという不思議な工業製品の技術動向をその歴史を俯瞰しながらまとめて行きたいと思います。
前回までMFCの要である流量センサーの技術動向を振り返りました。
流量を測定するというのはMFCが流量制御する為の第一段階であり、ここでつまずいては正確な流量制御はできません。
そして、今回からはMFCの流量制御のもう一つの要である流量制御バルブを用いた自動制御に関して解説していきます。
そもそもMFCが使われるようになる前、流量制御は下図のようなフロート式流量計とニードルバルブを組み合わせたものが主流でした。
人間が検出器である流量計のフロートの位置(流量値)を目視で読み取り、頭脳で目標値である流量と比較判断して、ニードルバルブの開度を手で調整することで制御を達成します。
人間が目視し、判断し、操作することで調整計としての役割で介在するプロセスであり、このような制御系は手動制御という形の立派な制御の形なのです。
手動制御の問題点は、そこに人間が介在しなくてはいけないことです。
人間は24時間同じパフォーマンスを発揮し続けることが難しいですし、熟練度により目視から判断の過程で差が生じます。
そういった手動制御の問題を解決するには、自動制御が必要となります。
流量計を流量信号を出力できるもの、例えばマスフローメータ(以下 MFM)に変えることで、人間の介在しない自動流量制御を行うが下図です。
自動制御に必要となるのは、人間の代わりに比較、判断、操作をこなす調整計です。
調整計は人間の目と頭脳と手の代替機能を持っていますが、全く同じ動作をする訳ではありません。
例えばフロート式流量計は、人間の目で読み取るというアクションが必要なため、検出値を調整計で処理するための信号化が難しいのです。
その為MFMのような流量を電圧や電流信号に変換できるデバイスが必須とされました。
このMFMと自動調整バルブ、そして調整計を一つのパッケージにまとめたのがMFCなのです。
MFCはそれ単体で、熱式流量センサーが検出器としての役割を果たし、そこからの測定値(Process Variable=PV)と外部から与えられた目標値(Set Variable=SV)とを比較し、その偏差を無くす為に、流量制御バルブの操作量(Manipulative Variable=MV)を決定する自動制御系なのでしたね?
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan