真・MFC千夜一夜物語 第421話 MFCの応答性能 その3

2024年01月09日

2024年、あけましておめでとうございます。
本年も本BLOGを宜しくお願いいたします。
年明けから令和6年能登半島地震、そして羽田の航空機事故と続きました。
犠牲になられた方々、そのご家族にお悔やみ申しげますとともに、
被災された方々が一日でも早く元の生活に戻れるよう祈っております。
わずかな金額ですが、EZ-Japanからも被災地への寄付をさせて頂きました。

さて、2024年もMFC千夜一夜物語を始めさせていただきます。
章を改めて巻線型熱式流量センサーを搭載したマスフローメーター(MFM)の応答がマスフローコントローラー(MFC)のそれよりも決して早くはない理由のお話です
流体に直接接触するMEMS型は感度が良く応答が速いというお話をしました。では、なぜ、MFCのメイン市場である半導体製造装置ではあまり用いられないのでしょうか?
それは"直接流体に接触する"というMEMS型の利点が、半導体製造プロセスで使用されるガスでは仇になってしまう事があるからなのです。
MEMS型の代表的な構造を見てみましょう。

上図にあるようにMEMS型の場合、流量センサーを構成するマイクロヒーターとその上流下流の測温センサーが流体に直接接触しています。
これが巻線型のような非接触、SUSチューブを介して熱の受け渡しをしているタイプよりも敏感なセンサーを作れる要因なのですが、半導体製造工程では塩素のような腐食性ガスを使用することもあるのでセンサーの劣化が懸念されます。
更にMEMSの場合、ボディ側への熱の逃げを避けるために、シリコンダイヤフラム上にMEMS技術で形成している事もあるので、このダイヤフラムの腐食、もしくは逆に反応による異物堆積によるもんだいもあります。

また、半導体プロセスでは危険なホスフィンのような毒ガスや、シラン系の可燃性ガスも存在しますので、ダイヤフラムの下にある空間にそれらが入り込んでなかなか抜けない=つまり置換効率が悪し構造になることも好まれません。(毒ガスに限らず、ガスの置換効率は重要視されます。)
こういったMEMSの構造上と特徴から、半導体プロセスでは避けられてしまったという歴史がありました。

Decoとしては、前述の深堀りRIE=ボッシュ工法の微小流量酸素ラインの制御にMEMS型を使用している海外の装置メーカーは存在しているのも知っていますので、「シリコン半導体用のエッチャーで酸素の微小流量&高速流量制御が必要なラインだけでも使えたら面白いのになぁ。」と考えていました。

半導体製造装置設計に携わる方々からすると、何を言ってるんだ!とお𠮟りを受けそうですが、MFC屋の立場だとMEMSのMFCは巻線型ではどうしても対応できない高速応答という分野で、素晴らしい結果を出してくれているのは確かなので・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan