プロセス圧力コントローラー P-800シリーズ その2

2023年09月12日

APC(Automatic Pressure Controller)には背圧制御型と供給圧制御型が存在しています。
この2種を融合したのが、今回ご紹介するブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)EL-PRESS/IN-PRESSP-800シリーズです。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

今回はこの面白いAPCを具体的に紹介していきます。
ブロンコストは供給圧制御型APC P-600、背圧制御型APC P-700で多くの実績を有しているメーカーです。
最大圧力400barまでと日本製APCとは比較にならない高圧領域で確実な動作を行える唯一の存在であり、各種工業プロセスで活躍しています。
流量制御だけではなく、圧力制御も社業の一つとしているブロンコストからの提案されたAPCの新しい形がこのP-800シリーズです。
一見すると、MFCタイプのボディにバルブと思わしきものが二つ付いている不思議な形状ですが、そのフロー図は下図になります。

ガスの入口にソレノイドの比例制御弁1があり、その下流に圧力センサーがあります。
この配置は供給圧制御型APCそのものです。
だが、大きく異なるのは圧力センサーの手前に分岐があり、そこから排気側へのパスが設けられている事だです。
そしてここにもう一つ比例電磁弁2が設けられています。
このモデルの異形さの原因であるボディ横に2つ配置されているバルブはこの2つの比例制御弁です。
これらは元々MFCやAPCで用いられる流量制御バルブと同じ構造のものです。

では、実際の圧力制御で、これらはどのような動きをするのでしょうか?
P-800を使用するに当たって、特別変わった操作は必要ありません。
ユーザーはP-800の下流に設置するチャンバー内の圧力に関して希望する設定値を入力して、P-800に任せておけばよいのです。
まずガスを導入してチャンバーの圧力を上げていく際、P-800は下図左のような制御を行います。

比例電磁弁1を開度調整し、比例電磁弁2は閉止します。
そうするとP-800は供給圧制御型APCとして圧力センサーで感知した下流の圧力測定値(P.V.)と設定入力された目標値(S.V.)を比較して、比例制御弁1の開度を自動制御します。

次に何らかの理由でチャンバー圧を下げたい場合は、P-800は図の右のように圧力を下げる動作を行います。
まず比例制御弁1を閉じてガスの供給を絶ち、今度は排気側の比例制御弁2を開度調整し始めるのです。
このモードでのP-800は、今度は背圧制御型APCとして圧力センサーで感知した下流の圧力測定値(P.V.)と設定入力された目標値(S.V.)が一致するように比例制御弁2の開度を自動制御しています。
圧力センサーは共通で、二つの比例制御弁で供給側と排気側の流量制御を必要に応じて使い分ける仕組みなのですね。

Decoもこのアイデアには驚かされました。
なかなか柔軟かつ、面白い発想ですね。
この二つのソレノイドを使った比例制御バルブの制御は口で言うほど簡単ではない筈です。
バルブ切り替えだけではなく、二つの制御弁の特性やKv値に応じた制御アルゴリズムの設定はかなり高度なものになると思います。

ブリード弁やリリーフ弁を不要としたことでチャンバー周りの部品点数を削減できますし、モジュール化したことで省配線にも大きな効果があります。
また、高価なガスや危険なガスを大気に開放することなく回収することも可能になるという利点も備えています。
ちなみにP-800シリーズの制御圧力レンジの最大はP-822CV/CIの10~200barとなっています。
興味を持たれた方は、EZ-Japan Decoまでお問合せ下さい。

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