真・MFC千夜一夜物語 第400話 MFCの流量はなぜずれるの? その4
真・MFC千夜一夜物語も、とうとう400回を迎える事が出来ました。
最初のこのブログを始めた頃は、まさかこんな回数まで書けるとは思っていなかったのですが・・・
千夜一夜、つまり1001回が最終回予定の本ブログ、果たして後601回分を書き上げられるでしょうか?今後とも宜しくお願いいたします。
熱式マスフローコントローラー(MFC)のユーザーから、「MFCも流量出力は変化が無いのに、どう考えても流量がずれているように思えるのですが・・・」という問い合わせを頂く事があります。
一つの原因はゼロシフトでしたが、もう一つの問題に関して解説していきましょう。
もう一つの原因、それは分流比の変化から生じる流量異常です。
MFCの流量をゼロに設定すれば判別できるゼロシフト問題と異なり、非常に見つけにくく厄介なのがこの問題です。
巻線型分流構造のMFCで生じるセンサーとバイパス(層流素子)とに分流比が、出荷時より変化してしまう現象のことですね。
この現象は、塩素ガスのような腐食性ガスや、シラン系のガスで生じやすいのですが、状況によってはコンプレッサエアーからの圧縮空気でも発生します。
つまり、どんなガスでも生じる可能性はある問題だと言えるでしょう。
では、MFCの巻線型流量センサー構造解説から始めましょう。
巻線型熱式流量センサーの構造図を下図に示します。
巻線型の流量センサーの構造を説明したこの図でわかるように、巻線型流量センサーは、必ずしもMFCに流入してくる流体の全量を測っている訳ではありまえん。その為、この方式を「巻線型分流方式」と呼称することがあります。どんなフルスケール流量のマスフローでも、そのセンサー管に流れる量は多くても10mL/min程度の微少流量で、残りの流量はバイパスに流れます。どちらかというと流量センサー管が、全体のほんの一部の流れをサンプリング測定しているような構成です。なぜこのような構造が必要なのかという答は「層流素子」という言葉にあります。熱式流量計が正確に流量を測定するためには、管内を流れる流体が層流運動状態であることが必要条件だからです。層流素子自体は抵抗素子に過ぎず、ある一定の量をセンサー管に正確に分流するという役割を果たしながら、「層流を作るための素子」として機能しており、流量測定の相棒である流量センサー管内部に「層流」を作る為に、過剰な量の流体を定量的に「バイパス」させている部品であると考えてもいいのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan