真・MFC千夜一夜物語 第396話 コリオリ式マスフローで気を付けて頂きたい事 その4

2023年04月04日

最近、コリオリ式マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)マスフローポンプのご用命を頂く事が増えました。
それに伴い注意いただきたい点をお話ししますね。
前回は振動影響のお話をしました。
もう一つ気を付けるべき点は温度です。

確かにコリオリ式流量計は流量式に流体の物性に関わる値を含まないので、流体に対する温度圧力の影響を直接受けません。
しかしながら、流量式にあるバネ定数Ksは温度の影響を受ける故に温度補償を行っているというお話をしたと思います。(下図)
今回はここが関わっていきます。

コリオリ式マスフローは、供給圧を上げてセンサー管を流体が流れさえすれば、質量流量で測定できてしまうと解説しましたが、ある種のオイルは低温となる飛躍的に粘度が上がり、ゲル状から固形に至る場合があり、気を付けなくてはいけません。
元圧を上げて押し込めるといっても、コンプレッサーの能力の限界で制限があります。
圧力によっては低温環境では全く流れないこともありえるのです。

その場合は、配管やコリオリ式マスフローをヒーターで昇温する事で解決できることもあります。
オイルなどの粘性の曲線はある温度域で急激に変化する傾向があるので、その温度域より昇温出来るなら、いいのです。
ですが、コリオリ式流量計は繊細な電気回路で構成されています。
例えばピックアップ部や、Ksバネ定数への温度補償回路がそれに当たります。
高温マスフローのお話で解説しましたが、70℃を超える高温はそもそも電子部品にとっては避けるべきでしたね?
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)miniCORI-FLOWシリーズでは、流体温度が70℃を超える場合、周囲環境温度を常温、もしくはそれより下げてほしい旨を下図のように明確に謳っています。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

赤線が非通電時、黒線、青線はそれぞれの機種の通電時の縦軸が流体温度、横軸が周囲温度です。
これは周囲温度を下げる事で、流体に直接触れない電子部品を保護する意味合いがあるとDecoは理解しています。
このようにヒーティングを行う場合は、くれぐれも注意して行って下さい。
流体を流す為に高価なコリオリ式マスフローを壊してしまっては意味が無いですし、そこまでには至らなかったとしても、折角のコリオリなのに不確かなデータを採っても意味は無いですから。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan