真・MFC千夜一夜物語 第394話 コリオリ式マスフローで気を付けて頂きたい事 その2
最近、コリオリ式マスフローメーター(MFM)、マスフローコントローラー(MFC)、マスフローポンプのご用命を頂く事が増えました。
それに伴い注意いただきたい点をお話ししますね。
・・・とは言いながら、熱式を長く売ってきたDecoからすると、コリオリ式はすごく良い子で、特に問題はありません。
応答性能も流体に奪われる熱の移動を測る熱式と異なり、コリオリ式はセンサーの応答が速い為に、今まで見えなかったような波形を確認する事が可能ですし、ゼロも熱式のようにずれません。
そして熱式の最大の弱点であるコンバージョンファクター(CF)問題も存在しません。
上図にあるように、コリオリ式は流量式に流体の物性値を含んでいません。
故に流体の物性がよくわかっていない材料や、刻々と組成や混合比が変化していくような流体でも質量流量測定ができる完全な質量流量計なのです。
つまり流体や条件毎にCFが存在しないという事です。
熱式のように流体の定圧比熱に左右されたり、温度、圧力、あげくはMFCの分流構造でコンバージョンファクターが複数存在してしまったり、最悪はその流体のCFがわからないという事が一切ありません。圧力をかけてセンサー管を流体が流れさえすれば、質量流量で測定できてしまうというのが、コリオリ式の特徴です。
では、そんな完全な質量流量計であるコリオリに何に気を付けるかというと、それは先ほどコリオリの長所としてご説明したセンサーの測定原理が絡んでくるのです。
熱式流量センサーの弱点は熱影響であったのと同じく、振動系のコリオリ式流量センサーの弱点は、やはり振動なのです。
以下の動画の55秒目くらいから、コリオリ式流量センサーの動きを見てください。
チューブ自体が振動しているのがわかりますね?
(これは説明の為に少しデフォルメされている事をお断りしておきます。)
出展:ブロンコスト・ジャパン(株)
例えばコリオリ式マスフローを設置した際にポンプが近接していて、しかも設置が同じ構造物だった場合や、配管がしっかり固定されておらず、振動を拾って自身も振動してしまいやすい状況ですと、振動の周波数によってはコリオリ式センサーに影響を及ぼしてしまうのです。
複数台のコリオリ式マスフローを近接して同じ構造体の上に並べてもクロストーク(相互干渉)を起こしてしまう事もあります。
これらは必ず生じるわけではありません。
でも、もし不幸にもこういった現象に見舞われた場合は、どうしたらいいでしょうか?
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan