真・MFC千夜一夜物語 第389話 寒いですね。寒い日のMFCは・・・その1

2023年02月07日

寒いですねぇ・・・
Decoは2年前の心不全からの多臓器不全での入院以降、痩せたせいか冬の寒さがきつく感じるようになってしまいました。
ではマスフローコントローラー(以下MFC)はどうでしょうか?

「人間と違って機械だから大丈夫でしょう?」等と思っていませんか?
♪ロボットだから マシンだから ダダッダー♪ではありません。
まず、使用されているMFCの温度仕様を確認してみてください。
初期の半導体向けMFCですと、15~35℃というものがありました。
現在でも5~50℃くらいでしょうか。
この冬場、空調を切ったふつうの作業場や研究室では5℃を切っている事はざらにありますね?
実はこの仕様って空調の効いたクリーンルームで使用するのが前提なのです。
これが一般工業用のブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V.)の製品では-10~70℃という広い温度範囲だったりします。

IP65対応IN-FLOWシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

「使う時には空調をいれているから・・・」とおっしゃるかもしれません。
でも、逆に言えばそれまでの長い時間MFCは冷えた環境で放置されていますから、冷え切っています。
その状態ではMFCに通電してから暖気時間を通常の設定より長くとってあげて欲しいのです。
なぜならば・・・
MFCは熱式流量センサーを搭載しているからです。
下図のあるようにMFCの流量センサーはヒーターから与えた熱を流体が奪っていく量をブリッジ回路で取り出して流量に変換しています。

このセンサーのヒーターが良く温まっていない状態でMFCを使用し始めるとどうなるか?
厄介なことに熱式センサーは、2もしくは3つのヒーター及び測温抵抗体で構成されています。
これらがスタートアップから均等に性能を果たせるかというと、やはり個体差があったりするのです。
そうするとMFCの流量0=ゼロがなかなか安定しない、つまり測定した流量がずれたまま使用してしまうといった可能性が生じるのです。
寒い時はスタートアップは念入りに、「暖機運転は通電後30分」とメーカーが書いていても倍の1時間以上は見てあげてください。

そして、目に見えないもっと大きな問題が発生する事もあります。
なぜならばMFCよりも更に冷え切っているものが、MFCの周囲にはあるからです。
それは何でしょう?
お話は次回に続きます。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan