真・MFC千夜一夜物語 第384話 流量制御バルブとアクチュエーター その4
マスフローコントローラー(以下MFC) の流量制御を司る流量制御バルブとそのアクチュエーターに関して再び解説していきましょう。
MFCに用いられるアクチュエーターの復習として前回はサーマルアクチュエーターのお話でした。
サーマルタイプの問題点を克服すべく、次なるバルブ構造が考案されます。
それがソレノイド(電磁)アクチュエーターを搭載したバルブです。
ソレノイドはおそらく今、世界で稼働しているMFCに搭載されているバルブ方式では最も多い方式ではないでしょうか?
それくらいメジャーなアクチュエーターでなのです。
電磁弁は遠隔操作できる閉止用バルブとしては、色んな産業用途に製品化されていますが、MFCに搭載するソレノイドアクチュエーターは、それらとは少し異なります。
一般的なMFCのソレノイドバルブ構造を図に示します。(特定の企業の発明物、技術を指す物ではありません。)
本方式で用いるソレノイドはDCソレノイドです。
バルブを動かすのは、KM-45のような耐腐食性能を持つ軟磁性材料である電磁ステンレス鋼を芯とし、そこに銅線コイルを巻き通電することで発生する磁力です。
その磁力でプランジャー(可動鉄芯)を引き寄せてバルブを開閉させます。
バルブは磁力の向きと反対方向へ板バネなどでの力で押し付けられ位置決めされています。こういった基本原理・構造は、一般的な流路閉止動作用電磁弁と同じです。ただ、閉止動作用電磁弁は、ある電圧をかければ全開(もしくは全閉)という動作をすればいいのですが、MFC用のソレノイドアクチュエーターは流量を細かく制御するために、印可する電圧に伴って少しずつ開き始めて、できるだけ徐々に全開に至る特性であって欲しいのです。
つまり全開-全閉間を広い電圧レンジで制御できるように特別に調整される必要があるのです。
ソレノイドアクチュエーターを採用したMFCは、サーマルアクチュエーターを搭載した機種に対し、高速応答性と大流量に対応しやすい大きなバルブストロークという利点を持っていました。
この方式はMFCにとって非常に扱いやすいという評価を得て、多くのベストセラーMFCを産んでします。
有名なのはTylan社、Brooks社、Unit社の製品でほとんどが米国系企業です。
また、今や一般工業向けで大きなシェアを持つオランダのブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V.)もラインアップのほとんどをソレノイドで構成している事で有名ですね?
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan