真・MFC千夜一夜物語 第374話 コリオリ式マスフローの良さが認知されてきました その2
マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDecoが推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?
今回はコリオリ式のストロングポイントのおさらいから始めます。
「微小流量を正確に測定する事の意義は、最新のプロセスの再現性を維持する為に大変重要である」と認識され始めたのは、刻々と微細化多層化する半導体製造装置からでした。
温度・圧力変動影響を受けにくい質量流量計である熱式MFCが重用されるようになって、半世紀近いです。
現時点で質量流量計というカテゴリーに属する流量計は、熱式とコリオリ式しかありません。
下図にあるように質量流量とは、ある地点を通過する流体の量を"質量"で表したものであり、体積流量とは、ある地点を通過する流体の量を"体積"で表したものです。
従って両者の差は、あくまで流れの量をどの切り口で表現するか?という視点の違いなのです。
質量流量が体積流量よりも有利なのは、あらゆる測定・計測コンディションで不変の単位である質量を用いることです。(故に"重量"ではなく"質量"。)
それに対して体積流量は、 ボイル・シャルルの法則 「ある質量の気体の体積[V]は、絶対圧力[P]に反比例し、絶対温度[T]に比例する」に従って、温度・圧力というファクターで標準状態を定義しなくてはいけません。
これを測定された値(アクチュエアル流量)から見て表現しているのが、計装用語で使われている"温圧補正"です。
温度・圧力を間違えて運用すると大きな誤差を生んでしまうことになるので要注意です。
この一点で質量流量計の優位が理解できますね?
質量流量計である熱式とコリオリ式の流量式を図に示します。
実はここには大きな違いが存在しています。熱式は流体が奪う熱量から流量を求めます。
それ故、熱を奪う側である流体の物性である比熱をその流量式に含んでいます。
それはつまり流体の物性が正確に把握できていなければ、質量流量を算出できないという事です。
それに対して、コリオリ式の流量式には、そういった流体の固有の物性に関わるものが一切含まれていません。
つまり、コリオリ式は流体種を特定してその物性を確認しなくても良いのです。
温度圧力などの環境条件の変化で流体の物性が変化したとしても影響を受けないし、複数の流体の混合流体の混合比が明確になっていなくても、またはその混合比が刻々と変化するような状態でも、質量流量を測定できる事を意味しており、これはコリオリ式流量計の特筆すべきポイントとなのです。
Decoその特性からコリオリ式こそが完全な質量流量計であり、理想に近い存在であると考えています。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan