真・MFC千夜一夜物語 第372話 トレーサビリティ体系図って必要でしょうか?

2022年08月30日

「MFCの校正証明書が必要なんです。」というお問い合わせを頂きます。
例えばオランダのブロンコスト(BronkhorstHigh-Tech B.V.)製品の場合、校正証明書を有償で提出してもらうのですが、たまにお客様の方からこのようなリアクションが来ます。

「証明書が紙切れ一枚ですか?数字が全く入っていませんね?」
「国内メーカーは、丁寧にトレーサビリティ体系図を付けてきますよ。」

結構、お年を召した品質保証担当の方などに多いです。
いえいえ、手を抜いている訳ではありません。
これでいいんです。
なぜならブロンコスト傘下で校正を司るブロンコストキャリブレーションセンター(Bronkhorst Calibration Centre : BCC)オランダ国認定評議会Dutch Accreditation Council (RvA)からISO/IEC 17025:2017(以下ISO17025)の認証を取得した認定校正事業者(認証番号:K127)だからです。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

校正証明書はISO17025に基づいた正規の手順で校正が行われているという事を示す書類です。
これと製品の校正に用いた社内基準器(流量に応じて複数あり)がBCCの所有する標準を用いて校正されている事を明示した成績書さえあれば、トレーサビリティは証明できてしまうのです。
なぜならBCCとオランダ国計量標準機関であるVSLやNMiとの間のトレーサビリティは既にISO17025の認証番号を持つことで証明されていると考えられるからです。

典:ブロンコスト・ジャパン(株) 一部加筆:EZ-Japan

そして国際MRA(Mutual Recognition Arrangement=多国間の相互承認)により、One-Stop-Testingのメリットを享受できる事になります。
つまりオランダで採ったデータが、MRAをかわした世界中に国で受入れられる事になるのです。
ブロンコストの発行する校正証明書は、日本のJCSS校正証明書とも同等の効力があるという事になるのですね。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 一部加筆:EZ-Japan

先程の冒頭の質問への回答を記しておきましょう。
測定した数字は校正証明書ではなく、本体ごとに添付している成績書(Calibration Data Sheet)に記載があります。
そこにはBCCの所有するどの製造番号の流量標準を用いたかまでが必ず明記されています。

そして、2番目の質問の丁寧なトレーサビリティ体系図というのは、まだ国家としての流量標準が確立していなかった頃の名残です。
今や流量標準というものが存在しているのでシンプルなのですが、それが無い頃がありました。
その時代には、体積、温度、圧力、電圧、時間・・・といった流量を導き出すのに必要とされる要素を列記して、それぞれの測定器の不確かさを明記していた体系図が付いていたのです。

そのイメージを持っておられる方が、今のシンプルな校正証明書を見ると疑問をお持ちになってしまうのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan