真・MFC千夜一夜物語 第369話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その6
マスフローメーター(MFM)、マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。
一般産業、特に分析装置のように卓上で使用するような小型装置の場合、マスフローが占めるフットプリントと重量の軽減は、非常にインパクトが大きいです。
その点でブロンコストのIQ+FLOWシリーズはイノベイティブな存在です。
【IQ+FLOW 提供:ブロンコスト・ジャパン、撮影:EZ-Japan】
寸法はW:40×D:20×H:60mm(継手を含まず)です。
公平を期すために同社の現行のスタンダードモデルであるEL-FLOWシリーズの諸表を紐解くとW:77×D:25×H:112mm(継手を含まず)であり圧倒的なダウンサイジングを達成しているのがわかります。
重量もアルミボディのモデルで200gと一般的なMFCの1/5~1/6まで軽量化されているのです。
ダウンサイジングで忘れられがちですが、重量削減の占めるファクターも大きいのです。
それは装置全体の重量を削減させる事のメリットもありますが、MFCを取り付ける際の工数削減にもなります。
IQ+FLOW用のセンサーは、他のブロンコスト製品とは異なり、MEMSタイプの流量センサーを搭載しているからこそ、ここまで軽量コンパクトにまとめる事が出来たのです。
このサイズで流量制御バルブを搭載したMFCである事に驚くユーザーは多いですね。
流石に流量レンジ上限は窒素ベースで5SLMまでにとどまります。
MEMSセンサーの効能で応答速度 0.3秒以下であり、決して通常サイズのMFCに見劣りはしませんし、圧力定格は10bar=1MPa(G)までと、他のブロンコスト製品と比較すると低いのですが、国産マスフローとは同等です。
【IQ+FLOW マニフォールドタイプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】
IQ+FLOWシリーズは単体でもコンパクトなのですが、装置メーカーのような定期的購入が前提のOEM顧客向けに、複数ラインのMFCを一体化したマニフォールド・ソリューションも提供しています。
写真のようにMFCを3ライン連結してみたり、MFC以外にもIQ+FLOWサイズのAPC(Automatic Pressure Controller)や閉止バルブ、三方バルブ、フィルター、ガス混合マニホルドを組み合わせた本格的なガスシステムを最小限のフットプリントで再現し、同時に省配線化も実現するのです。配管接続の無い一体構成はリークポイントの削減による安全性向上、トップマウント構造でメンテナンス性向上をも提供します。
【FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】
EUの分析装置ではガスクロマトグラフ(GC)のインジェクター部の流量・圧力コントロールや、高速液体クロマトグラフ(HPLC)の検出部の流量制御、水素炎イオン化検出器(FID)の検出部の流量制御等で既に多く採用されており、日本でも分析装置以外でもエアリークテスターなどで導入されています。
一般工業向けMFCのダウンサイジングは、MEMS流量センサーのデビューと共に大きく前進したが、ブロコストのIQ+FLOW、そしてこの春登場した20SLMまでをカバーするマルチガスタイプのFLEXI-FLOW Compactは、その先端を走るマスフローと言えるでしょう。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan