真・MFC千夜一夜物語 第368話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その5
マスフローメーター(MFM)、マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。
今回からは、現在進行形で進んでいるマスフローのダウンサイジング技術に関する解説を行いましょう。
ここでは大きく分析装置のような一般産業向けと半導体製造装置向けに分けて話を進めます。
これは半導体製造装置向けとその他の用途装置では、マスフローに対する要求事項が大きく異なるからです。
具体的に言えば、ダウンサイジングに最も有効である熱式流量センサーのMEMS (Micro Electro Mechanical Systems)化が受け入れられるか?です。
従来型の巻線タイプとMEMSタイプの構造比較を下図で見てみましょう。
巻線型は層流素子(バイパス)と組み合わせた全体像は下図のような形となります。
ほとんどの巻線型はセンサーの内径が1mmΦ以下のステンレスチューブでできています。
そこに流せる流量は5~10SCCM程度で、残りは全てバイパス側に流さなくてはいけません。例えば5000SCCMなら4995~4990SCCMを流せるスペースを確保しないといけないという事なのです
MEMSタイプと同じ流量レンジで比較すると、ダウンサイジングという要求に対して不利な構造であるのがわかります。
巻線型とMEMS型MFC 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
MEMS型も流量に応じて当然バイパスは必要になりますが、直接流体に触れる分、MEMES型はセンサー感度が良いので、センサーとバイパス分流比を巻線型のそれより小さく設定できる利点があります。
それは同じ流量レンジで比較するとバイパス部を小型化できるという点でダウンサイジング技術を進めるうえでは生きてくるのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan