真・MFC千夜一夜物語 第366話 ダウンサイジングこそ技術革新の証です その3
マスフローメーター(MFM)、マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。
1990年代後半、半導体プロセスガス流量制御を行う5SLM以下の流量レンジのMFCでダウンサイジングの動きが生じます。
これは従来の1/4"VCRⓇ(フェイスシール)タイプ継手を用いるMFCで、面間寸法124mmから脱却して106mmという面間を新たに訴えるものでした。(下図)
90年代後半から2000年代にかけて106mmコンパクトサイズと呼称されたMFCの事です。
ピエゾアクチュエーターでMFCを作ってきた国内メーカーの方が開発で先んじました。
ソレノイドアクチュエータータイプは、そのフットプリントが大きかったので開発に苦労したとも言われていますが、そもそも海外のMFCメーカーはこの日本発のコンパクト規格には無関心でした。
おそらく当時からMFCの需要先として世界最大の半導体製造装置メーカーであるアプライド・マテリアルが関心を持たなかったためでしょうね。
確かに124mmと106mmの差は18mmです。
これを画期的なダウンサイジングと捉えるか、否か?は難しいところでした。
大は小を兼ねるというが、その逆は難しいですね?
106mmのコンパクトMFCの継手を延長して124mmにすることはできるが、その逆はできません。
MFCは決して単体で用いられる機器ではありません。
バルブ、レギュレーター等と組み合わせてガスシステムを構築して使用されます。
その中でわずか18mmのダウンサイジングを実現する事のメリットと、106mmを採用してサービスパーツとして二種類のMFCをガス種流量毎に用意する事のデメリットを比較して評価した可能性は高いかと思います。
今ではこの106mmコンパクトサイズMFCはマスフローの歴史に消えていった存在となってしまいました。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan