真・MFC千夜一夜物語 第359話 超高温用マスフローの現状 その7

2022年03月22日

久しぶりに高温用マスフローコントローラ(以下MFC)マスフローメータ(以下MFM)に関して、情報のアップデートをしていきたいと思います。
250℃超高温マスフロー(MFCとMFMの総称)の開発のお話の続きです。
(株)フジキンさんでの250℃超高温マスフローの開発もう一つのエポックは、アクチュエーターでした。

ここで超高温下での使用に耐えるアクチュエーターがいきなり見つかると言った都合の良い開発秘話はありません。
現実に彼らが採用しているアクチュエーターは、150℃対応のピエゾアクチュエーターなのです。
超高温となる250℃の流体からの温度影響を及ぼさないためにセイコーインスツル㈱のCo-Ni合金SPRONを用いたダイヤフラムで仕切り、更に低膨張素材で構成されたエクステンション構造と称されている仲介機構を開発する事で流量制御を可能にしたのです。

高温用マスフロー自体は質量流量計であるマスフローの限定された市場向けバリエーションの一つに過ぎません。
特に250℃という超高温向けは、ALD等の最新半導体製造プロセスの特定材料向けに限定して性能を発揮する特殊なマスフローです。
液体MFCを用いた気化供給システムに対して、それらでは対応が難しい材料をハンドリングできる存在として、新しい半導体プロセスに向けに、高温用マスフローは再び光を放つ存在となりました。

流量センサーとアクチュエーターの超高温250℃対応という難しい技術課題を見事にクリアした(株)フジキンさんの開発力は称賛されるべきでしょう。
今後の250℃超高温マスフローに対する他メーカーのアプローチにも期待したいところですね。

【参考文献・ウエブサイト】

*"株式会社 フジキンにおける半導体業界向けガス供給システムの開発について"
 池田和弥  生産と技術  第60巻 第1号(2008)

(株)フジキン HP 高温250℃対応圧力制御式ガス流量制御

セイコーインスツル㈱マイクロエナジー事業部 HP 


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