ウォッベ指数計 MEMS AG gasQS flonic V2 その2
先週ご紹介した、インラインでウォッベ指数が測定可能なウォッベ指数計"MEMS AG gasQS flonic V2"ですが、具体的にはどういった用途で用いられるのでしょうか?
まずは前回触れた船舶燃料です。
船舶からの大気汚染の防止のための規制は、海洋汚染防止条約(MARPOL 条約)附属書Ⅵに基づき、オゾン層破壊物質、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)及び粒子状物質(PM)並びに揮発性有機化合物(VOC)を対象物質とし、国際的に統一された放出規制が実施されています。
また、そもそも度重なる船舶事故での重油での海洋汚染を危惧して検討されたこの条約の性質上、船舶からの海洋汚染防止で規制対象となる油の範囲を従来の重油だけでなく全ての油に拡大するとともに、有害液体物質、汚水、バラストタンクからの排水等も規制対象に含めることによって自然への汚染を防止するための包括的な条約なっているのです。
このうち、NOx 及び SOx・PM については、2008 年 10 月に開催された国際海事機関(IMO)の第 58 回海洋環境保護委員会(MEPC58)において、段階的な規制強化と、NOx と SOx・PM のそれぞれについて一般海域より一層厳しい規制を行う大気汚染物質放出規制海域(ECA:Emission Control Area)を設定することができる枠組みが合意され、そのための附属書 VI の改正が採択されました。
上図にあるようにECA は、定められた手続きに則った各国からの提案に基づいて、IMO で審議の上、MARPOL 条約附属書 VI の改正を経て設定されます。
北米ECA、カリブECA、そして北海・バルト海ECAが定められ、この海域を通行する船舶は規制を受けることになっています。
その他一般海域においては段階的な規制強化、ECAにおいては、いきなり強い規制を実施されています。
この結果、新造船に搭載される出力130kWを超えるディーゼルエンジン規制やエンジン定格出力当たりのNOx排出量の上限値設定に加え、2020年からはSOx規制が導入されました。
2020年1月1日以降、船舶の燃料油の硫黄分許容限度は、一般海域でも3.5% m/mから0.5% m/mに強化されます。(ECAで規定されている上限値は0.1% m/mで引き続き適用。)
これにより船舶燃料としての重油の運用に赤信号が点灯しているのです。そこで代替燃料の一つとしてLNGが注目され、LNG燃料船の建造、船舶用LNGの需要拡大が期待されています。
以下それぞれの燃料での環境性のグラフです。
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
参考)新たな LNG 需要:船舶燃料としての LNG
LNGはSOxをほぼ排出ぜず、NOxでもかなりの削減が見込める上に、CO2排出量も抑える事ができます。
このLNGを有効に活用し、普及させていく為には、LNGが抱える問題:産地ごとにその組成が大きく異なるという前回取り上げた問題をクリアして、世界の船が均質化したLNGを安心して利用できるよう、そして定められたSOx/NOx量の規制を一隻単位で順守しいけるようなシステムが必要になったのです。
船舶ごとに「ウォッベ指数」をインラインで計測できるこのウォッベ指数計 MEMS AG gasQS flonic V2がいかにその誕生を待ち望まれていたデバイスであるか?お判りいただけたかと思います。
しかも、ウォッベ指数計の用途は船舶燃料だけではないのです。
そのお話は、また次回とさせて頂きます。
ウォッベ指数計 MEMS AG gasQS flonic V2の日本における販売店は、 ブロンコスト・ジャパン株式会社です。
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