真・MFC千夜一夜物語 第346話 MFCだって自動運転! その9

2021年10月05日

スフローコントローラー(MFC)の自動運転のあり方に関して、お話をしています。
EtherCATのような理論上の最高速度 100Mbpsを有効に使えるフォーマットを持った通信ネットワークが現れたことは、MFCにどういった影響を与えていくのでしょうか?運命の分かれ道とは?というお話です。

MFCは装置のコントローラーと常に一対一の関係である事はありません。MFCだけでも半導体製造装置の場合、1チャンバーに対して使用するガス種、流量レンジによって5~10台、それが複数のチャンバー分存在します。装置のコントローラーが通信する相手はMFCだけではありません。
ガス系だけでも圧力センサー、バラトロン等のセンサー類に、バルブの数までいれるとなかなかの数量になります。
更に装置には、ガス系よりも更に高速で細やかに指示をしなくてはならない精密位置決めステージや搬送用ロボットアーム等もあります。
これだけのスレイブ点数があると、ネットワークも多層化していく可能性もあります。

つまりEtherCATのような高速通信がマストな機器は最新の高価なハイスピードネットワーク、そうでもない今までのMFCのように流量設定信号(SV)を貰ったら、流量信号(PV)と一致するように制御する"クルーズコントロールレベル"自動運転をしてくれるだけでいいなら実績のある安価なロースピードネットワークというゾーニングです。

これには現在求められておる"MFCの画期的なダウンサイジング"というもう一つの課題が密接に関わってきます。
10mmMFCのような薄いMFCを開発しようとすると、当然最新の高速ネットワーク通信用の基板が、そこに収まりきらないという問題が出来してしまうことも想定されます。
こういった中で今後開発されるMFCの位置づけはどうするべきなのか?という議論が必要な時期に来ているかとDecoは考えています。
ハイスピードネットワークに入ることで、ロボットアーム的な装置のコントロールを強く受ける機器となるか、従来通りロースピードネットワークで生きていくのか?

これは装置がMFCにどこまでを求めるか?で変わってきます。
装置メーカー、デバイスメーカー、ガスボックスメーカー、マスフローメーカーによって未来図は異なってくるでしょう。
例えばDecoが考える未来のMFCにとってハイスピードネットワークは必須です。
なぜなら未来のMFC"として長年考えてきたのは、流量制御のイニシアチブをMFCと装置の双方で持った形で、各々のプロセスで使い分けていくものだからです。
流量制御モジュールであるMFCと装置との親和性を今の時点より更に高めていく方向性です。
その為にはリアルタイムで複数のセンサー情報や指示を正確にやり取りする必要があり、ハイスピードネットワーク、特にEtherCATのような形態が望ましいのです。

この"未来のMFC"のコンセプトは、いずれご紹介するつもりです。
MFCの自動運転に絡めた未来像のお話は、今回はこれくらいにしておきましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan